訪日中国人観光客の消費動向に変化がおきています。かつてのモノ消費中心のスタイルから、近年新たなニーズが顕在化しています。日本のインバウンド市場において、観光客数では韓国に次ぐ第2位となり、消費額では国別で第1位(全体の21%)を占めるのが中国です※1。この変化を牽引しているのが、全体の約68%を占める20〜30代の若年層※2です。本稿では、最新のトレンドから、 今日の訪日中国人観光客の深層心理(インサイト)を読み解きます。
訪日中国人の消費に現れた「2つの潮流」
サイバーエージェント社内では東アジアを中心とした、日本国内の大学に通う留学生が調査員として在籍しています。各国の主要メディアを日頃から駆使する彼らだからこそ得られるリアルな訪日客のインサイトやトレンドを日々調査しております。そんな彼ら、彼女らが調査し収集した訪日中国人観光客の最新トレンドから大きく2つの消費の潮流が見られました。
潮流1 :「セルフケア(悦己)」消費 – 自分を喜ばせるための自己投資
1つ目の潮流は、中国語で「悦己(ユエジー)」と呼ばれる価値観に基づいた「セルフケア消費」です。これは、他者評価ではなく「自分軸」で幸福を追求し、「自分自身を喜ばせる」ことを最優先する考え方です。
このトレンドを象徴するのが、『日本变美(日本でキレイになる旅)』や『日本医美(日本の美容医療)』といった検索ワードで示される、美容・健康への投資です。
- ● 1. 日本の美容医療:
- 日本の美容クリニックが人気を集めています。背景には「日本の品質の高さ」や「自然な仕上がり」への信頼に加え、「中国語対応」といった安心感が、投資先として選ばれる決め手となっています。SNS上では、ボトックス注射などの体験談が数多く共有されています。
- ● 2. 日本の美容室:
- カットやカラーなど、日本の美容室での体験も人気です。日本の美容師は国家資格が必要で技術レベルが高いと評価されており、丁寧な接客やコストパフォーマンスの良さも魅力とされています。
- ● 3. 健康診断:
- 日本の高度な医療技術への信頼から、旅行中に人間ドックやがん検診を受ける富裕層・中間層が増えています。
これらの消費は、先行きの見えない社会の中で、コントロール不可能な他者や将来ではなく、確実な「自分」に投資することで心身の満足を得ようとする、切実な欲求の表れと言えるでしょう。


