Google「Nano Banana」登場でアドビは戦略的転換、責任あるAI使用も課題に

前回のコラム

では、Googleが2025年8月にリリースした画像生成・編集モデル「Gemini 2.5 Flash Image」(通称:Nano Banana)によるゲームチェンジの可能性について述べました。

2025年5月に登場し、同じく昨今注目を集めるGoogleの動画生成モデル「Veo3」の動向も交え、Nano Bananaの登場がクリエイティブ業界におけるパワーバランスにどのような影響をもたらすのか、引き続き考えてみたいと思います。

Adobeの戦略的転換とエコシステムの未来

Nano Bananaの登場は、クリエイティブ業界におけるパワーバランスにも大きな影響を与えています。

特に注目すべきは、Adobeの戦略的転換です。

米Adobeは2025年8月28日、自社の画像生成AIサービス「Adobe Firefly」とデザイン作成アプリ「Adobe Express」上で、Googleの最新画像生成AIモデル「Gemini 2.5 Flash Image」(Nano Banana)が利用できるようになったことを発表しました。

アドビの公式ブログより。

アドビの公式ブログより。

さらに、Fireflyでは、自社モデルを差し置いてNano Bananaがデフォルト設定になったという報告もあります。

これは、

Adobeが生成AIの「基礎モデル」開発競争において、自社のみで全てを賄う戦略から一歩引き、高性能な外部の基礎モデルを積極的にインテグレーションする戦略へと舵を切った、と解釈できます。

これまでにもOpenAIとの戦略的提携を発表するなど、外部モデルの活用に前向きな姿勢を見せていましたが、今回の動きでその姿勢が一層明確になりました。

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岡田太一(sync.dev Technical Director/Visualization Artist)
岡田太一(sync.dev Technical Director/Visualization Artist)

CG会社のDigital Artist からキャリアを開始。ポストプロダクションを経て、現在はビジュアルクリエイティブ領域にてテクニカルディレクションを担当。得意な分野は映像編集、ビデオ信号とリアルタイム合成、トラッキング関連など。2022年から『ブレーン』で連載中。

岡田太一(sync.dev Technical Director/Visualization Artist)

CG会社のDigital Artist からキャリアを開始。ポストプロダクションを経て、現在はビジュアルクリエイティブ領域にてテクニカルディレクションを担当。得意な分野は映像編集、ビデオ信号とリアルタイム合成、トラッキング関連など。2022年から『ブレーン』で連載中。

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