仕事をもっと面白くする企画力──うねり代表取締役・豊間根氏、宣伝会議CDO・柳沼と考える「人を動かす企画」

広告・マーケティング・メディアビジネスに携わるすべての方に向けた「アドタイ・フォーラム」。
9月25日、26日に開催される宣伝会議最大規模のイベントにあわせて、特別企画の対談をお届けします。
 
「人を動かす企画って、そもそも何だろう?」
 
そんなテーマで、資料作成やコミュニケーション支援を手がける豊間根青地氏(うねり代表取締役)と、広告の現場を長年走り続ける柳沼優樹(宣伝会議CDO)が語り合いました。
 
ケーススタディを交えながら、リアルな経験談と発想法が飛び出す対談。読んでいるだけで「なるほど!」の連続です。
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人を動かす企画とは?

豊間根:資料って結局、人を動かすために作るものですよね。提案を通して動いてもらう、そのためのツール。

柳沼:そうそう!広告も同じ。僕はまず「生活者の気持ちになる」ことから始めます。歯磨き粉でも、軽自動車でも、プリンターでも。すべては人に届かないと意味がないから。

豊間根:なるほど。マクロだけ見ても不十分だし、逆に細部だけでも動かない。両方をどうつなぐかがカギですよね。

柳沼:ほんとそう。昔はテレビCMをドーンと打てば広がったけど、今はそうはいかない。施策を何本も同時に走らせて、チャネルを組み合わせて…頭フル回転です。

豊間根:それ、めっちゃ大変ですね(笑)。でもだからこそ企画力が試される。

ケーススタディ1:20代女性にノンアルを売るなら?
SよりO(=Opportunity)から考える

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豊間根:ここからはケーススタディにいきましょう。テーマは──「20代女性向けのノンアルコールビールをどう売るか?」。柳沼さんなら、どの順番で考えます?

柳沼:僕ならまず「SよりOから」ですね。SはSWOT分析のStrength(強み)、OはOpportunity(機会)。商品の特徴や競合状況ももちろん見ますが、最初に生活者のニーズから機会を探す方が、企画として筋が通りやすいと思うんです。

豊間根:なるほど、いわゆるマーケットインの考え方ですね。

柳沼:そうです。当事者である20代女性に実際に話を聞くのも大事。たとえば「明日は大事なプレゼンだから飲めない」とか「旅行で運転する必要がある」とか。飲みたいのに飲めない、そういうシーンにフォーカスすると戦略的に良い方向が見えてきます。

豊間根:つまりノンアルコールビールは「その時間に飲める」っていう価値を提供できる、ってことですね。

柳沼:はい。ビール好きが楽しめる状況を考えるなら、“ほぼビール”であることがすごく重要です。ノンアル自体がゴールじゃなくて、ある状態に到達するための手段なんですよ。

ノンアルコールビール自体は目的ではなく、手段である

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豊間根:そうそう。僕が人を動かすときによく使う考え方でいうと、「あげよう」というフレームワークがあります。As-Is/To-Be分析に近いもので、1.ありたい姿(To-Be)やあるべき姿、2.現状(As-Is)、3.その要因、4.打ち手。この4つを整理して考えるんです。

ノンアルの場合も、20代女性にとって「飲む」というのはただのアクションであって、それ自体が目的じゃない。本質的な価値は、その行為を通じて得られる状態や変化。だから「ノンアルです」と言うだけじゃ人は動かないんです。

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かといって「幸せになれる商品です」と抽象的に言うだけでも意味がない。まずはジャンルやカテゴリーとして“ノンアルコールビール”をちゃんと打ち出すのが大事。そのうえで、その商品が人にとってどんな意味や価値を持つのか──もっと抽象的な次元まで示してあげる必要があります。

柳沼:確かに。現状ばかり見てもつまらないですからね。「どうなったら面白いか」を理屈抜きで考えて、世の中にどうヒットさせるかをイメージするのが大事。

得られる価値や体験を想像させることが大切

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豊間根:そうですよね。営業の提案でも結局はここが本質で。合意できれば、あとは具体化するだけ。個人の意思決定でも同じだと思います。
このお題でいえば「ノンアルコールビールを開発して広める」プロセスのどこを対象にするかによって、考え方の焦点も変わってきます。

柳沼:だから僕は「ほぼビールとして作ればいい」と考えているんです。本物感がある方がビール好きは喜ぶし、最近のノンアルはほんと本物に近いですから。

豊間根:なるほど。商品開発の観点でいうと、この「あげよう」の話も顧客が享受する本質的な価値を考えることになりますよね。そしてプロモーションの観点でも、ただ缶デザインやクリエイティブを見せるだけじゃなく、「その先にどんな価値や体験が得られるか」を想像してもらうことが大切。

──ということで、ケーススタディ1は想定以上に盛り上がっちゃいました(笑)。

ケーススタディ2:社内AI活用をどう広める?

豊間根:じゃあ次のお題。従業員1000人くらいの会社で、AI活用を担当してる人が「みんなに使ってほしい!」って頑張ってるけど、なかなか広まらない。この課題を解決するための企画を考えていきましょう。

続きは動画で!

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しごおもTVとは「仕事をもっとおもしろく。」をテーマに知的好奇心をくすぐる気付きや発見を与えてくれるYouTubeチャンネル。「【簡単】AIをフル活用して資料を作る方法」といった直接的に学びになる動画はもちろん、「AIで会議資料が消える!?未来の仕事スタイルを大予測」など、仕事をテーマにしたおもしろくてわかりやすい動画を投稿。

うねりのリブランディングにも注目!

豊間根さんが率いるうねり株式会社は、このたびシリョサク株式会社からリブランディングを実施。これまで資料制作を起点に人材育成や組織改革へと事業を展開していましたが、これからは我々の強みである「わかりやすくておもしろいで、人を動かす」により注力して、祖業である資料制作はもちろん、企業の人材育成と組織変革を一層強力に推進していきます。

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登壇者プロフィール

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豊間根青地 氏

うねり株式会社
代表取締役

1994年東京都生まれ。東京大学工学部卒。サントリーで通販事業のCRM・広告などを担当する傍ら、趣味のPowerPointで作成したスライドがSNSで反響を呼び、12万人以上のフォロワーを集める。2022年に独立し、「わかおも」で「しごおも」の実現をめざす会社「うねり株式会社」を創業。著書に『秒で伝わるパワポ術』『秒で使えるパワポ術』(KADOKAWA)

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柳沼優樹

株式会社KAIGI, 株式会社宣伝会議, 株式会社マスメディアン 
取締役CDO

2012年に博報堂入社。多数の産業においてマーケティングやデジタル、システムコンサルまで広域な領域を支援。新人賞、組織内懸賞などを受賞。2024年から現職。70年以上の歴史ある宣伝会議グループの5事業を対象にDXを通じたバリューアップを試みている。

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