ゲーム依存症条例へのアンチテーゼ
ゲームのオンライン家庭教師を行っている「ゲムトレ」という会社があります。その知名度をあげるために話題化させたいという依頼が来ました。話題化以前に、ゲームの家庭教師自体が一般化されていません。なので、「ゲームをやるのは最高だ!」と言うと、ゲームを推奨する広告に見えてしまうかもしれませんし、「ゲームは家庭教師の時代だ!」と言うだけでは疑問が残ります。ただ話題にするだけでなく、ゲームの家庭教師という新しい存在の価値を知ってもらわなければなりません。話題になるためには社会の波に乗る必要があると考えました。
そこでブレストです。いろいろなアイデアが出る中で、香川県に「ネット・ゲーム依存症対策条例」があるとわかりました。ブレストはアイデア出しだけでなく、情報を集めるときにも活用できるのです。そこから「ゲーム=悪、依存」と一括りにされる風潮に一石を投じ、議論を生むきっかけにしてはどうか?その思いから、あえて香川県の四国新聞に、広告を出すことにしました。
キャッチコピーは、親の定番文句を逆転した「勉強ばかりしないでゲームしなさい」。ひねくれているからこそ、親が言いそうなことの真逆を見つけ出せたのだと思います。そのままではひねくれた印象になってしまうので、巨匠の夏目漱石だって昔は「小説なんて何もできないやつの仕事だ」と言われていたけど、現在はリスペクトされている。ゲームもネガティブに言われがちだけど、10年後、20年後には「やってて良かった」と思える時代が来るかもしれない、とボディコピーに書きました。
普段ゲームをやる方たちだけでなく、政治家やコメンテーターなど、様々なジャンルの方たちの間で議論の輪が広がり、「スーパーJチャンネル」などのテレビメディア、さらには海外のメディアでも取り上げてもらえました。世の中の空気を見て、それに対してアンチテーゼを提示し、議論を起こす手法で成功した例です。
次のページは真逆の存在が生んだパワーワード
