アニメ・マンガ ― 物語がブランドを越境させる

大英博物館展示やアカデミー賞受賞作から読み解く、ストーリーテリングの国境を超える力

日本のアニメやマンガは、いまや「ジャパンカルチャー」として世界的な人気を博している。かつては日本国内でのみ消費されていたこの文化は、現在では世界中のファンを惹きつけ、多様な言語、文化、宗教的背景を越えて共感を集める現象となっている。

その象徴的な出来事の一つが、2019年にイギリスの大英博物館で開催された『マンガ展』だ。来場者数は18万人を超し、欧州における日本マンガの大規模展示として注目を集めた。同展のシンボルには『ゴールデンカムイ』のアシㇼパが起用され、博物館の入口には象徴的なポスターも展示された。

また、2024年には宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』がアカデミー賞の長編アニメーション部門を受賞し、世界的な注目を浴びた。これらは、アニメやマンガが単なる日本のコンテンツではなく、グローバルな文化資産として評価されていることを示している。

では、なぜ日本のアニメ・マンガはここまでの影響力を持つに至ったのか。コラム第一回となる本稿では、その本質的な力である「物語性」に焦点を当て、ストーリーテリングの手法、IPビジネスの展開、そしてファンダムの力を通じて、物語がいかにしてブランドや国境を越えるのかを探っていく。

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増淵 敏之
増淵 敏之

法政大学文学部地理学科教授、専門は文化地理学。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、学術博士。コンテンツツーリズム学会会長、文化経済学会〈日本〉特別理事、希望郷いわて文化大使、岩手県文化芸術振興審議会委員、NPO氷室冴子青春文学賞特別顧問など公職多数。

増淵 敏之

法政大学文学部地理学科教授、専門は文化地理学。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、学術博士。コンテンツツーリズム学会会長、文化経済学会〈日本〉特別理事、希望郷いわて文化大使、岩手県文化芸術振興審議会委員、NPO氷室冴子青春文学賞特別顧問など公職多数。

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