新たに「人的資本投資と企業価値向上」を可視化 三井物産における「人的資本レポート2025」の工夫

三井物産は2023年から継続して「人的資本レポート」を発行している。3年目となる今回は、昨年のものをベースにしつつ、新たに「人的資本投資と企業価値向上との相関」を示すなど、企業価値向上のストーリーがより分かりやすく伝わる工夫をしている。

データを一目で見やすく

同社は2023年に初となる「人的資本レポート2023」を発行した。編集方針では、「本レポートは、当社の価値創造プロセスを、グローバル・グループで『人』をテーマに紹介し、当社の人材に対するさまざまな取り組みを人的資本という考え方で捉えて整理し 、まとめたものです」と記載。そのうえで、代表取締役社長による「挑戦を通じて人は育ち強くなり、強く育った人材が価値を生む、人の成長と新しい価値の創造が相互に連鎖する姿こそが三井物産の姿」とのメッセージや、世界各国の社員へのインタビューなどを掲載した。

2024年版は、ビジュアル面をより工夫。例えば、冒頭の「At a Glance」は数字の配置や色使いを変えることで、文字通り「一目で」データを把握できるようになった。

2023年版の冒頭

2024年版の冒頭

人的資本投資と企業価値向上の関係を可視化

2025年版は、さらに「伝わりやすさ」に力点を置いた印象だ。

例えば、目次の次に「人的資本レポート2025でお伝えしたいこと」というページを設けた。レポートの概要や各章の説明をするとともに、注目コンテンツも記載。CEOメッセージは「中期経営計画2026の最終年度として、人材戦略の重要な取組方針」がテーマであることを示している。

新たなページを追加

また、「人的資本投資と企業価値向上との相関」を示したのも特徴的だ。

同社では、社員エンゲージメントの向上や労働災害件数の低減等を重要な経営指標の一つとして捉える。そのうえで、これらの人的資本に関する定量指標の改善・向上が企業価値向上にどのようにつながっているかを定量的に分析し、可視化する取組みを進めているという。

図では特に関係性が高いと想定されるもののみを示しているが、「人的資本への投資から創出された価値を通じて、5つの経営資本をさらに強化、最大限に活用することにより、当社ならではのビジネスモデルの実践につなげています」とする。その結果として、事業を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献し、企業価値の向上と持続的な成長を実現する、というストーリーだ。

「人的資本投資と企業価値向上との相関」

例えば、「強い『個』の育成」という人材戦略が、「事業をリードする人材育成への投資」などの人的資本投資につながり、「社員エンゲージメントの向上」などのインパクトを生み、「グループ経営力の強化」などの価値を創出する。なお、各要素は1対1で結ばれているのではなく、複合的に作用しあっている形だ。

こうしたパスが図示されることで、ステークホルダーは人材戦略から価値創造までのストーリーをより理解できるだろう。

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