なぜ今、IPビジネスが国内で注目されているのか
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が世界興行収入ランキングで記録的なヒットとなっている。2020年に社会現象となった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』から期間が空き、原作漫画の連載も既に終了しているにも関わらず、その人気は国内外で衰えることなく再び大きな熱量を生み出している。
(参考)「鬼滅の刃」無限城編の驚異的ヒットはなぜ起きた? 劇場への“熱狂”を生んだ、新たな方程式とは:まつもとあつしの「アニメノミライ」(1/2 ページ) – ITmedia NEWS
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日本発の漫画やアニメをはじめとするコンテンツが巨大な経済効果を生む現象を受け、政府もコンテンツ産業を次なる基幹産業の一つとして位置づけている。エンターテインメント業界だけでなく、経済界もIPビジネスの「可能性」に注目している。一方でその背景で起きている「構造変化」については、まだ十分に理解されているとは言えない。
IPビジネスの定義と広がり
そもそも、なぜ今「IPビジネス」という言葉がこれほどまでに使われるようになったのか。
一つは、ユーザーの行動の変化だ。いわゆる「推し活」に代表されるように、ユーザーはもはや受け身ではない。作品の世界観を深く解釈し、SNSで発信・交流し、時には二次創作を通じて、IPの価値形成に能動的に関わるようになった。このムーブメントの広がりは、もはや従来の「マンガ」「アニメ」といったジャンルや、単体の「作品人気」だけでは説明がつかない。
