2025年⽇本国際博覧会協会は「大阪・関西万博」閉幕の翌朝にあたる10月14日、閉幕御礼広告を全国紙朝刊に出稿した。掲載媒体は日経、読売、朝日、毎日、産経。
澄み渡った清々しい青空の下、ミャクミャク、大屋根リングとともに「おはよう、未来。」というコピーから始まるこの広告はどのように生み出されたのだろうか。ボディコピーの全文は次のとおり。
おはよう、未来。
朝がきました。
いつもと同じように、朝がきました。
昨夜をもって、万博は閉幕を迎えました。
184日間、2,500万人を超えるみなさんに
ご来場いただき、本当にありがとうございました。
たしかに、万博は終わりました。
でも、こうも思うのです。
万博はつづく、って。
そう。一人ひとりのなかで、
いろんな何かにカタチを変えてつづいていく。
それはアイデアやイノベーションのような
大げさなものだけではなく。
海の向こうにはいろんな国があって、
いろんな文化や価値観があるんだな、とか。
当たり前って当たり前じゃないんだ、とか。
いろんな課題は山積みだけど、
それに負けないくらいの希望もあるんだ、とか。
人間って世界って、まだまだ伸びしろばかりだ、とか。
きのうまではなかった気持ちが、
あなたのなかで確かに生まれているとしたら。
きょうの朝は、あしたの朝は、
まったく違う方向に進んでいける。きっと、絶対に。
朝がきました。
いつもと同じようで、どこか新しい朝。
だからこそ、こんな言葉を贈りたいのです。
おはよう、あなたの未来。
大阪・関西万博、閉幕。
みなさん、ありがとうございました。
コピーを手がけたのは、コピーライターの山根哲也氏(ライトパブリシティ)。この閉幕御礼広告の企画にあたりどんなことを考えていたのか、話を聞いた。
「終わるけど静かに確かにつづいていく」読後感を設計したかった
━━今回の広告制作に関わった経緯を教えてください。
2025年大阪・関西万博の広告には、以下のとおり開幕の約2年前から携わってきました。
・「くるぞ、万博。」(開幕500日前、2023年11月30日リリース)
・「想像以上!が、万博だ。」(開幕半年前、2024年10月13日リリース)
・「きたぞ、万博。」(開幕時、2025年4月13日リリース)
・「『かけこみ万博』に、ご注意を。」(閉幕約2か月前、2025年7月31日に全国紙に出稿)
振り返れば、万博を少しでも身近に感じる、使い勝手のいい「道具のような言葉」を心がけていたように思います。その総仕上げとして、閉幕広告のご相談がありました。
184日間の御礼を伝える、万博の最後の広告。目的は、明快です。でも、せっかくみんなが夢中になった万博をパタっと閉じるような広告は寂しいと思いました。
終わりだけど終わりじゃない。ただ、ここからが始まりというのも嘘くさい。終わるけど静かに確かにつづいていく、そんな読後感を設計したいと思いました。その出発点の考えは、ステートメント中の「万博は、つづく。」に活きています。




