朝日広告社は、全国の従業員数300人以上の企業で採用戦略・採用計画の立案・方針策定業務に携わる854人を対象に、パーパス採用ブランディングの実態に関する調査を実施した。調査期間は2025年7月31日~8月4日。
パーパス採用ブランディングとは、採用において、パーパスへの感情移入を通じて、求職者から選ばれる状態をつくる取り組みを指す。
採用難をきっかけにパーパスを策定する企業も
調査によると、現在、人材不足を感じている企業は81.4%であり、人材不足に対して「働きやすい職場づくり」や「賃金や賞与の引き上げ」などの取り組みを行っている企業が多く見られる。
しかし、採用人数への満足度を聞く質問では、「とても満足」9.0%、「やや満足」27.7%で、満足している人は約4割と高くなく、従来の待遇改善だけでは十分な効果が得られていないことを示唆している。
朝日広告社は、「パーパス設定の有無」に着目し、「採用人数の満足度」「採用人材の質の満足度」「応募者数の満足度」「内定承諾率の満足度」「入社後の定着・活躍の満足度」といった5つの項目について、パーパスを設定している企業と設定していない企業を比較。その結果、すべての項目でパーパスを設定している企業の採用活動の満足度は高くなる傾向があり、「採用人数」では27pt、「採用人材の質」では17pt、「内定承諾率」では15ptも満足度に差がみられた。
また、「パーパスを設定したきっかけは?」という質問では、「新中期経営計画の策定」35.0%、「事業拡大・新規事業開始」32.2%、「周年」30.4%など、企業にとって節目となる出来事が上位に入っている中で、「採用難」も26.9%と5番目に多い結果となっている。
調査結果から、人材不足が顕在化している状況において、パーパスを設定し採用活動に活用することで採用人数や人材の質などの満足度の高い企業が一定数存在することが明らかになった。パーパス採用ブランディングは待遇競争からの脱却のための一つの手法ではないかと、朝日広告社は推論している。




