日本科学振興協会(JAAS)は、自主研究に取り組む学生の研究アイデアを発掘・支援するプロジェクト「学生アイデアファクトリー2025」の最終プレゼンを10月25日に日本科学未来館にて開催し、受賞者を決定した。
学生アイデアファクトリーは、学部生・高専生・短大生が抱く科学への夢、自由な発想、独創的な研究アイデアの発掘・支援を目的に2023年にスタートさせたプロジェクト。大学の研究室で教員などの指導のもと進められている研究ではなく「独自の研究アイデア」を応募要件としており、学生自身の興味・関心から着想を得たアイデアや社会課題の解決に向けた自由な発想のアイデアが毎年集まる。
3年目の今年の最高賞(JAAS賞)には、九州大学工学部の中桐真珠子さんの「昆虫細胞を用いた未来型ロボット開発」が選ばれた。プレゼンで中桐さんは「高校2年生の時に鶏の細胞を取り出して、その細胞から肉を培養するというSFのような話を知り、心が奪われました。そこから趣味でずっと細胞培養をしてきました。いまは工学部で細胞を利用したい気持ちが強くなり、材料としての細胞に目を向けて考えたのが、“昆虫細胞を用いたロボット”でした」と着想のきっかけを話した。哺乳類・鳥類細胞は培養時にさまざまな難点があるが、昆虫細胞は培養しやすくバイオロボティクスに有用と提言。今後はカイコ(繭)を用いて培養を進めて筋分化を図っていくと研究プロセスを語った。