IPの「出口戦略」を再定義:製作委員会モデルからNetflix、MAPPAの挑戦まで

伝統的なマネタイズ手法としての「メディアミックス」

第1回では、IP(知的財産)ビジネスが注目される背景と、長くIPビジネスを支えて来たビジネスモデルが構造的な課題も抱えつつある点を指摘した。今回は、IPビジネスの核である「収益化(マネタイズ)」を実現するための『出口戦略(投資回収戦略)』が、どのように多様化しているのかを分析する。

第1回:鬼滅の刃、世界で記録的ヒット いま、日本IPビジネスに何が起きている?

「出口戦略」として日本で極大的に発展してきたのが、メディアミックスと呼ばれる手法だ。マーク・スタインバーグは著書『なぜ日本は〈メディアミックスする国〉なのか』(2015)で、その詳細な分析を行っている。起源は1960年代のマンガを原作としたテレビアニメ『鉄腕アトム』と明治製菓のタイアップにまで遡るが、同書ではKADOKAWAが巨大な国民的人気映画のメディアミックスから、消費者の嗜好の多様化・細分化にあわせて、雑誌やオリジナルアニメなどの中小規模のコンテンツからのメディアミックスを同時多発的に展開する手法に発展させたことも詳しく分析されていた。

漫画やアニメを起点に、グッズ、ゲーム、イベントなど複数の「出口」で収益機会の最大化を図るこのメディアミックス戦略は、第1回で触れた「製作委員会方式」との相性もよく、アニメ製作における資金調達の標準モデルとなっている。

図:製作委員会方式(みずほ銀行 産業調査部「コンテンツ産業の現状と今後の発展可能性」より引用)

しかし、この仕組みは国内でのパッケージ販売や定番のグッズ化といった「既存の(予定された)商流」においては機能しやすい一方で、その構造上、グローバル市場での突発的な人気やデジタル領域での新たなニーズに迅速に対応するには、必ずしも最適化されているとは言えない。収益ポイントをどこに設け、誰がユーザーにも対応していくのか、そのリスクとも向き合うのか、モデルの再定義が求められているのが現状だ。

Netflixー配信プラットフォームの台頭と1社製作 その光と影

この「収益ポイント(=出口)」の再定義という課題が生まれるそれまでの中で、常識を大きく変えたのが、2015年に日本へ上陸したNetflixだ。Netflixの積極的な作品調達とグローバル展開は日本のアニメのリーチを世界中に拡げ、現在の市場規模拡大に大きく貢献するという「光」の側面をもたらした。

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日本発IPはどこへ向かう? 今さら聞けない現在地と進化論
まつもとあつし(ジャーナリスト、研究者)

ジャーナリスト・研究者(専修大学文学部ジャーナリズム学科特任教授)。NPO法人アニメ産業イノベーション会議(ANiC)理事長。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現職。ASCII.JP・Yahoo!ニュース個人などに寄稿。著書に「コンテンツビジネス・デジタルシフト」(NTT出版)「地域創生DX」(同文館出版)など。取材・執筆と並行してコンテンツやメディアの学際研究と教育を行っている。

まつもとあつし(ジャーナリスト、研究者)

ジャーナリスト・研究者(専修大学文学部ジャーナリズム学科特任教授)。NPO法人アニメ産業イノベーション会議(ANiC)理事長。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現職。ASCII.JP・Yahoo!ニュース個人などに寄稿。著書に「コンテンツビジネス・デジタルシフト」(NTT出版)「地域創生DX」(同文館出版)など。取材・執筆と並行してコンテンツやメディアの学際研究と教育を行っている。

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