ワシントンD.C.にあるナショナルズ・パーク。
こんにちは。西武ライオンズ広報部長の赤坂修平です。
この秋、西武ライオンズでは、社員を対象にした海外視察研修を実施しました。目的は、短期的な成果ではなく「中長期的な視点を持つ人材」を育てること。今年度は、次期中期経営計画を見据え、「当社の将来的なあり方」について構想するための視点や示唆を得ることを目標としました。
多様な知見・視点を吸収してもらうことで、持続的な成長に向けた構想力を高めていく。その両輪を育む場として、私たちはアメリカを選びました。
もともとこの研修は、本拠地・ベルーナドームのボールパーク化(2021年完成)を目的に、10年以上前から行っていた取り組みです。コロナ禍で中断していましたが、昨年から再開。今年は私を含めて4人が参加しました。
セールス、マーチャンダイジング(MD)、球場の飲食メニュー企画などを担当するフード&ビバレッジ(F&B)――それぞれの現場を代表する若いメンバーが選ばれました。管理職は私だけで、ほかは現場の第一線で働く若手社員でした。私以外は初海外というおまけ付きです(笑)。
2週間弱の行程。円安などもあって、費用は相当かかりました。決して小さな額ではありません。しかし「人に投資をする」という経営の強い意思があってこそ、こうした研修が成立します。私自身も、今回の旅を“人財育成の延長線上にある経営投資”として位置づけていました。
変化する“体験価値”――エンタメとしての野球を再設計する旅
ヤンキー・スタジアム(ニューヨーク)。
訪問先は、ニューヨーク、ワシントンD.C.、アトランタ、ミネアポリス、ラスベガスなど。
ヤンキー・スタジアム、ナショナルズ・パーク、トゥルーイスト・パーク、ターゲット・フィールドといったMLB各球場に加え、ディズニーワールドやラスベガスのスフィア、トップゴルフなど、アメリカを代表するエンターテインメント施設を広く視察しました。
目的は単なる球場視察ではなく、「野球をどう体験価値として再設計できるか」を考えるためです。
スポーツビジネスを取り巻く環境は、コロナ禍を経て大きく変化しました。野球が“国民的娯楽”であり続ける保証はなく、ファンの観戦スタイルは世代ごとに分断され、多様化しています。
「試合を見ること」が体験の中心だった時代から、「球場で過ごすこと」そのものが価値になる時代へ。ベルーナドームの暑さや寒さといった環境課題を超えるだけの“楽しい時間”をどう作るか。それが今、私たちに求められているテーマです。
一方で、応援の熱量やチーム愛が“体験価値”として可視化され、SNSやUGCによって拡張される時代にもなりました。つまり、試合内容だけではない「来場から退場までのすべての接点」が、ブランド体験そのものになっているのです。
ライオンズにとっての課題は、この変化を“現場でどう実装するか”ということ。デジタルデータを用いた顧客理解、AIによる需要予測、マーチャンダイジングや飲食メニューの最適化などは急務です。しかし、その一方で、社員一人ひとりが「体験設計とは何か」を自分ごととして考え、ファンの立場から再構築できる感性を持たなければ、施策は形骸化してしまう。今回の研修は、まさにその“考える力”を養うための場ともなりました。



