広告クリエイティブは「透明性」をデザインできるか――C2PA普及で生まれた論点

前回のコラム

では、動画生成AIの広がりに伴う「C2PA」にまつわる動きを取り上げました。

繰り返しになりますが「C2PA」とは、デジタルコンテンツの出所と加工履歴を証明する技術仕様を策定する業界団体であり、その仕様の名称でもあります。目的は、デジタルコンテンツの信ぴょう性を証明し、フェイクニュースやディープフェイクなどの誤情報の拡散を防ぐことです。

作成者や編集ツール、作成日時などの情報がメタデータとして埋め込まれ、コンテンツがどのように作成・編集されたかを確認できるようになります。

今後、C2PAは報道の分野から本格導入が進むと見られますが、本稿ではテレビCMなど広告業界への影響についてさらに考えていきたいと思います。

テレビCMや放送の納品規定と参入障壁のこれまで

C2PAのロゴマーク。

C2PAのロゴマーク。

過去を振り返ると、テレビCMや放送の納品規定は、しばしば特定の技術要件を設けることで参入障壁となってきました。

たとえば、HD納品が義務化された際には、対応機材を持たない制作会社は事実上参入できなくなりました。また、テープ納品からオンライン送稿に移った際も、データフォーマットや基準自体は公開されたものの、実質的には国内9社の素材搬入事業者を通じての入稿となり、これもまた参入障壁として機能してきました。

前回のコラム

で触れたFPAハーディング(放送により強い光を発しないかを確認する、いわゆる「パカパカチェック」)についても同様です。

Ofcomのガイドラインに準拠したQCチェックは、放送前にコンテンツが一定の品質基準を満たしていることを確認するためのものであり、署名付きPDFによる合否証明書の提出が求められます。法律で決められたわけではありませんが、実質的に放送QCの必須項目として機能しており、対応できない制作会社は放送コンテンツの制作から排除されるリスクがあります。

C2PAも同様に、対応ツールや署名サービスを利用できない制作会社は、将来的にはテレビCMや放送コンテンツの制作から排除される可能性があるのです。

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生成AI時代のテクニカルディレクション
岡田太一(sync.dev Technical Director/Visualization Artist)

CG会社のDigital Artist からキャリアを開始。ポストプロダクションを経て、現在はビジュアルクリエイティブ領域にてテクニカルディレクションを担当。得意な分野は映像編集、ビデオ信号とリアルタイム合成、トラッキング関連など。2022年から『ブレーン』で連載中。

岡田太一(sync.dev Technical Director/Visualization Artist)

CG会社のDigital Artist からキャリアを開始。ポストプロダクションを経て、現在はビジュアルクリエイティブ領域にてテクニカルディレクションを担当。得意な分野は映像編集、ビデオ信号とリアルタイム合成、トラッキング関連など。2022年から『ブレーン』で連載中。

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