企画から放映まで3週間 突然訪れたテレビCM放映のチャンスをつかんだアプリシエイト

デジタルの世界で知名度を確立させたブランドがさらなる顧客との接点拡大を目指したり、従来は人的営業中心だった企業が、テレビCMの活用に踏み切る機会があります。なぜテレビCMを選んだのか。初めて出稿する際に、どのような戦略を持って臨んだのか。担当者に話を聞きます。
※本記事は月刊『宣伝会議』12月号の連載「初めてのテレビCM」に掲載されています。

茨城と東京に本社を構えるアプリシエイトは、システム開発事業を主軸に、プロダクト事業やeスポーツ関連事業などを多角的に展開する企業。今期(2026年2月決算)の売上は約16億円近くなる見通しだ。売上の約9割を占めるのはシステム開発だが近年、力を注いでいるのが、自社開発のプロダクトである「iTime(アイタイム)」。勤怠管理と工数管理を両立させたクラウドサービスだ。2021年に発売し、1アカウント月額300円(税別)。これまで約200の企業や団体が導入し、顧客を増やしている。

「単純な勤怠管理ではなく、工数も可視化する仕組みとすることで、経営改善にも直結するシステムにしたかった」と、代表取締役社長の和田幸哉氏は開発の狙いを語る。

社員一人ひとりが、時間単位で見た時に、どの程度の付加価値を生み出しているかを可視化できれば、自ずと社員も生産性に敏感になる。そうなれば、現場レベルでも経営的な視点を意識できる体制を築くことが可能になると考えたという。

「経営の理想は、社員が幸せになることです。そのためには、収益を安定させ、地域の雇用につながる強い経営基盤が欠かせません。この基盤づくりの役に立ちたいと思い、『iTime』を開発しました」(和田氏)。現在の顧客は、民間企業が大半を占めるが、茨城県庁をはじめ自治体での導入も広がっている。顧客とのタッチポイントは、銀行でのビジネスマッチングや展示会、茨城のラジオ局のCMを通じて、プロダクトの認知を少しずつ広げてきた。

CM カット
CM カット
CM カット

「iTime」のテレビCM。勤怠管理だけでなく工数管理ができる点を訴求したことで、工数管理に課題を感じている大手企業からの問い合わせが増えた。

アプリシエイトが、テレビCMに挑戦するきっかけをつくったのは、同社のシニアアドバイザーを務める、エム・データ代表取締役会長の関根俊哉氏だ。フジテレビの広告出稿が減少したタイミングで「CMをやってみないか」という話が関根氏のもとに舞い込んだ。この話を聞いた和田氏は、「『iTime』の認知度を高め、販売を拡大するまたとない機会で、社員にとってもプラスになる。こんなチャンスは二度とない」とすぐにCM出稿を決断。内部留保率7割を保ってきた同社は資金の余力もあった。

しかし思いがけず出稿が決まり、企画から放映までわずか3週間という異例のスピードでの進行となった。制作を担ったのは、以前より「iTime」のキャッチフレーズやアートディレクションを手掛けていた田内健弥氏。CM制作の第一線で活躍するディレクターであり、田内氏の存在がプロジェクトの成功に大きく寄与した。CM制作にあたって、重視したのは「強いキャラクター」と「ちょっと笑える分かりやすさ」で印象に残すことだった。

…この続きは月刊『宣伝会議』12月号で読むことができます。

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