変わりゆく社会を俯瞰して『自分の価値』を見つけ、示し続ける

第一線のマーケター・クリエイターが明かす、キャリアアップの奥義。今回は、キャンサースキャンでクリエイティブディレクターを務める郷司実(ごうしみのる)さんにこれまでのキャリアについて伺いました。良い転職は、良質な情報を入手することから始まります。「こんなはずではなかったのに…」とならないための、転職情報をお届けします!

キャリアのスタートは米国の小さな広告会社

━━広告デザインを学んだのはアメリカだそうですね。

僕は日本で美大の建築科を卒業した後、ニューヨークのパーソンズ美術大学でコミュニケーションデザインを専攻しました。

建築も面白かったのですが、ひとつのプロジェクトに何年もかかる仕事が自分には向いていないと気付いてしまい、当時とても活気があった広告業界に興味が移りました。

キャンサースキャン
クリエイティブ本部長・クリエイティブディレクター
郷司実 氏
多摩美術大学美術学部建築科(当時)を卒業後、渡米。パーソンズ美術大学コミュニケーションデザインにて広告を学ぶ。卒業後、ニューヨークのグラフィック系広告会社にアートディレクターとして入社。2001年の米同時多発テロをきっかけに帰国し、外資系広告会社ジェイ・ウォルター・トンプソン(現・VML)に入社。2021年にキャンサースキャンへ入社、クリエイティブ本部長に就任。

実は高校時代にも1年間、アメリカに交換留学をしていたことがあり、広告を学ぶ先を再びアメリカに求めました。パーソンズではよく優秀作に選ばれたため、日本人である僕のアイデアには価値があるんじゃないかと思うようになりました。

━━就職はどのように決めたのでしょう?

留学生は卒業後、1年間のビザを取得できる制度があって。それを使って就職活動を始め、自信満々で大手広告会社にポートフォリオを送ったものの、返事はゼロ。焦りと不安が募っていきました。

進展もなく2カ月ほど経ったある日、ピザの配達に来たメキシコ人らしき少年を見てハッとしたんです。異国の地で懸命に働く彼と比べて、ただ電話を待つだけの自分は、なんて弱気なんだろう、と。すぐに広告関連企業のリストを手に、片っ端から電話をかけ始めました。とりあえず「Z」から。逆順にかけたのは、会社数が多い「A」が残っていると、安心できたからです(笑)。そうやって泥臭く動いたら、「明日から来て」と言ってくれる会社になんとか出会えた。僕のキャリアは、この小さな広告会社から始まりました。

3年ほど経った2001年、同時多発テロが起きました。ちょうど通勤時、ビルに突っ込む飛行機を目の当たりにして……。衝撃的な体験でした。それ以降、アメリカの空気はガラッと変わりました。広告も極端な愛国心を前面に出した表現が増え、大好きだった自由な雰囲気とは違うものになっていきました。転職を考えていた時期でしたが、やむなく日本に帰ることを決めました。

声が掛かればどんな仕事も引き受けた

━━日本での再スタートで直面した課題は?

帰国後、知人の勧めでジェイ・ウォルター・トンプソン(現・VML)に入社しました。

働き始めると、自分の実力不足を痛感することに。第一線で活躍する同世代の仲間たちの力に圧倒されるばかりでした。僕は学生の期間が長かったですし、アメリカではプライベートの時間を大切にするのが当たり前でした。豊かな生活で得たものも多かったですが、その間、日本の同世代は若手クリエイターとして寝る間も惜しんでアイデアを練り、腕を磨いていたのです。

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キャリアアップナビ
荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

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