BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の重要性が叫ばれる中、対応のためにシステムを導入したものの、なかなか業務プロセス改善につながらない企業は多い。BPMの本質は、システム導入ではなく「プロセス設計」そのものにある。
SaaSツールの提供を中心に、バックオフィス業務のDXを支援するマネーフォワードでは、顧客の業務プロセスを根本から改善している。執行役員 グループCSOの山田一也氏は、前職でも公認会計士としてベンチャー企業のバックオフィス構築を支援しており、業務プロセスの重要性を痛感していた一人だという。山田氏に、業務プロセスを「動かしながら磨き上げる」思考について伺った。
SaaSツールの提供を中心に、バックオフィス業務のDXを支援するマネーフォワードでは、顧客の業務プロセスを根本から改善している。執行役員 グループCSOの山田一也氏は、前職でも公認会計士としてベンチャー企業のバックオフィス構築を支援しており、業務プロセスの重要性を痛感していた一人だという。山田氏に、業務プロセスを「動かしながら磨き上げる」思考について伺った。
点ではなく、一連の業務フローを見る
経理や財務、人事労務、法務、経営管理まで、バックオフィス全体の業務効率化をサポートしているマネーフォワード。同社は創業から事業を拡大し続けているが、その起点は、主力だった家計簿アプリ『マネーフォワード ME』のユーザーから寄せられた「事業の経営管理もできないか」という声にあった。
「当初は個人事業主向けのサービスから始まり、法人向け会計システムへと展開しました。しかし、お客様の課題を深掘りすると、単に会計処理を効率化したいだけではないことが見えてきたのです」と山田氏。
多くの企業が業務改善を試みる際、経費精算や請求書発行といった「入力」や、その「承認」など、会計処理の前後にあたる業務設計は曖昧なまま進めてしまいがちだ。同社はまず、正しい会計データは、その前段にある正しい入力・承認プロセスから生まれると考えた。
そこで、会計システムからスピンアウトさせる形で、請求書発行、経費精算、債務支払といった周辺業務のプロダクトを独立させ、拡充していったという経緯がある。これは、会計という「点」の効率化ではなく、請求から入金、支払から会計処理といった業務全体のつながり、すなわちプロセス全体を観察する文化が同社に根付いていることの表れといえる。
