AI検索の普及は、情報消費のあり方を根本から変えつつある。リンク順位の最適化をめざす従来のSEOから、AIが生成する要約のなかにどう登場するかを競うAEO(アンサーエンジン最適化)へ——。ブランドと生活者をつなぐ文脈は大きく再編され、PRの本質的な役割が改めて問われている。AEO時代におけるPR戦略の要諦について、Three Plus Six LLC代表の森浩昭氏が解説する。
※本記事は月刊『宣伝会議』12月号の巻頭特集「オウンドメディアとコンテンツマーケティング戦略」の転載記事です。
情報消費の再構築でAEO時代が到来
AI検索時代において、マーケティングPRは変革期を迎えています。それは、Googleの「AI Overviews」やChatGPTの検索アシストといった生成AIの普及により、情報との出会い方、ブランドにアクセスするプロセスが根本的に変化しているからです。
Webサイトへの「リンク順位」だけでなく、AIが生成する「要約の中にいかに効果的に登場するか」が、重要になり、従来のSEOにとどまらないAEO(アンサーエンジン最適化)を理解し実践することが成功のカギとなります。こうした動きを受けて、PR業界は「信頼性の創造者」としての役割が求められる歴史的な転換点に立たされていると言えるでしょう。
AI検索は、ユーザーの情報発見と消費方法に次の3つのような大きな変化をもたらしました。
➀「探す」から「対話する」への移行
:従来のキーワード検索から、AIアシスタントに直接リクエストを送り、AIが情報源を収集・フィルタリングして回答する「対話的」な情報探索へ移行しています。
②「情報への入り口」から「情報そのもの」へ
:AI検索の最大の特徴は、ユーザーの質問に対し、Webサイトへのリンクではなく、AIが収集・分析した情報をまとめた「AI概要(AI Overviews)」や要約された情報を直接、提示する点です。これは、消費者が求めているのが「今すぐ使える、加工され、文脈化された情報そのもの」であり、情報探索行動におけるパラダイムシフトを示唆しています。