ブランド認知は7.6ポイント上昇 「マキアージュ」のリブランディング、TikTok中心戦略で若年層獲得に成功

資生堂の主力メイクアップブランド「マキアージュ」が2025年2月から実施したリブランディングで、TikTokを中心としたデジタルマーケティング戦略により大きな成果を上げている。ブランド認知が前年同期比で7.6ポイント、購入意向が4.8ポイント向上し、特にターゲットとした20代女性のシェア拡大を達成した。資生堂ジャパンの藤井誠氏とTikTok for Business Japanの武井俊一氏に、戦略の詳細と成果を聞いた。

20代への訴求強化へリブランディング

マキアージュは昨年、20周年の節目を迎えた。2005年のデビュー以来、20代から30代の働く女性をコアターゲットに展開し、多くの顧客に愛されてきたブランドだ。一方で、ロングセラーブランドであるが故に顧客の平均年齢が上がっていることが課題だった。若い世代の中には、「母親が使っている」事をきっかけに、ブランドを知るケースも見受けられるという。

資生堂ジャパン デジタルマーケティング戦略部 メイクアップデジタルマーケティング戦略グループ ブランドマネージャー 藤井誠 氏

「ブランド誕生から20年という節目のタイミングで、改めて20代に『自分たちのブランド』として認知してもらうために、リブランディングに当たっては、より生活者視点で、細心の注意を払ったコミュニケーションが求められました」(藤井氏)

デジタルマーケティングを担当する藤井氏のチームは、その前年から本格的に取り組みを開始。中でも注力したのが現在、国内MAU4200万を超える*1 TikTok だった。TikTok for Businessとの協業を通じて知見を積み重ねてきた。

*1:TikTok調べ。ユーザー数はTikTokとTikTok Liteの合計(重複を除く)

「企業が生み出したメッセージは、企業側の意図が強く感じられると避けられる可能性が高い。お客様が自然な形で情報に触れ、自分ごととして理解できることが重要」と藤井氏。TikTokを選択した理由について、「お客様が見たいタイミングで見たいコンテンツが表示される可能性が非常に高く、クリエイターによる商品紹介も自然な文脈で届けられる」点を評価した。

TikTok for Business Japanの武井氏は、「フルファネルでアプローチできることがTikTokの強み」と指摘。「認知から購入意向の醸成、最終的な購買アクションまでシームレスにつなげられる点と、ショートムービーというフォーマットでのクリエイティブノウハウを細かくご提案できることが特徴です」と続けた。

TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, FMCG Industry Manager 武井俊一 氏

多角的なクリエイティブで若年層の心をつかむ

今回の施策では、TikTokの機能をフル活用しているのが特徴だ。広告ソリューションや分析ツールの活用を通じ、リニューアルの認知拡大、興味獲得、トライアル獲得までを目指したフルファネル型のプロモーションを実施した。

リブランディングの認知から検討、購入までフルファネル型でプロモーションを展開した

施策の展開においては、まずブランドの世界観を示す動画で認知を図り、その後クリエイターによる商品紹介を行うという段階的なアプローチを採用。興味深いことに、クリエイターの投稿開始後にブランディング動画への関心も向上するという相乗効果が確認された。

「クリエイターの投稿による商品説明を通じて、『これはマキアージュなんだ』とブランドを認識し、その後でブランディング動画を見ると視聴態度が格段に良くなりました。情報が豊富な現代では、自分に入ってきやすいところから興味を持ってもらうことで、様々なコンテンツに対する感度が向上するプロセスが実際に起こっているのを確認できました」(藤井氏)

さらに今回は、ダンサーといった美容系以外のクリエイターによる新たな切り口での訴求まで、多層的なアプローチを展開した。「夜のダンス練習時に、すっぴんでは肌が気になるが、フルメイクするほどでもない。そんな時に美容液ファンデーションなら肌ケアしながら軽いメイクができる」という新たな利用シーンを提案し、20代の共感を得た。

「ミドルファネル」を可視化するTTMSの力

加えて、今回の成功要因の一つが、2025年春に導入された分析ツールTikTok Market Scope(TTMS)の活用だった。今のところ限られた広告主が使用できる無償のツールで、資生堂は先行導入企業の一つとして活用しているという。

「従来の広告評価は、ブランドリフト調査や管理画面での広告指標が中心でしたが、TTMSはTikTok上でのユーザー行動をより包括的に分析できる」(武井氏)といい、リアルタイムな状況把握を可能にした。

具体的には、TikTokのユーザーIDをベースに、ブランドに関連するコンテンツ(公式アカウント、UGC、広告出稿)に触れたユーザーを、認知(Awareness)、検討(Consideration)、購買(Conversion)の3段階で分類。各ユーザーがどのコンテンツ経由でどのファネルに到達したのかを可視化し、詳細に追跡できる。

TTMSの活用により、これまで見えなかったユーザー行動の変化が明確になった。「従来は認知と購買に近い部分は捉えやすかったが、真ん中の検討段階は『お客様の心の中の変化』なので非常に捉えにくかった」と藤井氏は振り返る。しかし、TTMSによって従来見えなかった顧客の心理変化を捉えることができたと評価する。

「お客様の気持ちの変化があった状態でブランド広告を見ると、クリック率が向上するだけでなく、ブランドサイトでのスクロール率も格段に向上しました。TikTok外での行動まで変化していることから、ミドルファネルの効果が実際に機能していることを実感できました」(藤井氏)

具体的には、ブランドサイトで50%以上スクロールしたユーザーの割合が格段に増加。「TikTok内だけでなく、プラットフォーム外での行動も変化していることが分かり、真のミドルファネル効果を実証できました」と藤井氏は分析する。

加えてTTMSのもう一つの特徴は、リアルタイム性だ。「この手の調査は通常時間がかかりますが、TTMSは常にほぼリアルタイムでスコアが更新されるため、施策実行中に結果を見ながら調整できることが大きなメリットでした」(藤井氏)

そして、TTMSによって可視化された検討フェーズのユーザーに対し、効果的にアプローチする手段として活用されたのが、購買意欲の高いユーザーの拡大を支援する広告ソリューション「Brand Consideration」だ。

「Brand Considerationは、『いいね』『シェア』『ブランド名検索』など複数のシグナルに反応しやすいユーザーに向けて広告配信できる手法で、購入検討段階への移行可能性の高いユーザーを特定して配信します。従来は一つの指標に最適化していた広告を、複合的なシグナルで最適化することで、真のミドルファネル攻略が可能になりました」(武井氏)

TTMSによる可視化とBrand Considerationによる最適化配信を組み合わせることで、これまで構造的に捉えにくかった検討フェーズに対して、再現性のあるマーケティング施策を構築できるようになった。

20代シェア拡大・売上増加を実現、オフライン効果の追求へ

一連の施策により、狙いとした20代女性のシェア拡大を「実感できるレベル」で達成。ブランドリフト調査では前年同期比で認知度7.6ポイント向上、購入意向4.8ポイント改善という具体的な成果を上げた。

さらに、リキッドファンデーションのキャンペーン実施後には、ブランド全体の20代購入者数が1〜5月で10%増加し、ファンデ美容液においては同期間で80%増と、若年層を中心に実購買の面でも大きな伸長を記録している。

今回の成功は、従来の一方向的なブランドコミュニケーションから、顧客の自然な行動に寄り添った双方向的なアプローチへの転換を示している。藤井氏は「20代の文脈に沿ってメッセージを流していくことで、比較的自然に、そして生活に浸透していく形で情報を届けることができた」と振り返る。また、武井氏も「TikTokのショートムービープラットフォームとレコメンドシステムの特性を最大限活用し、エンターテインメント性の高いクリエイティブでブランディングと効果測定を両立できた」と今回の取り組みを総括した。

マキアージュの事例は、成熟したブランドが若年層獲得を目指す際の新たなモデルケースとして注目される。従来のマス広告中心のアプローチから、デジタルネイティブ世代に最適化されたコミュニケーション手法への転換が、明確な数値として成果に現れた形だ。

藤井氏は今後の展望について、「デジタルでの成果をいかにオフラインでの行動変容につなげるかが最大の関心事」だと語る。「TikTokでのコミュニケーションを継続しながら、オフラインでの購買行動との相関をより深く分析し、真の意味でのデータドリブンなマーケティングを実現したい」と述べた。

お問い合わせ

TikTok for Business Japan

URL:https://ads.tiktok.com/business/ja

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