『新しい「企業価値」を創出する PR4.0への提言』は、広報の最新トレンドを軽やかに解説する本ではない。むしろ、情報環境が制御不能になり、企業と社会課題の距離が急速に縮まる時代において、広報が何を引き受ける仕事なのかを真正面から突きつけてくる一冊である。
本書では、PR1.0(情報拡散)、PR2.0(アウトカム重視)、PR3.0(社会的インパクト評価)という進化の整理を踏まえたうえで、これからのPRを「社会からの期待を引き受け、レピュテーションを形成し続ける営み」として定義している。ここで描かれるPR4.0は、単なる手法のアップデートではなく、企業の存在意義そのものと深く結びついている点が特徴的だ。
とりわけ印象的なのは、インターナルブランディングやSDGs・ESG文脈における「誠実なコミュニケーション」の重要性が、理念論ではなくリスク管理の視点から語られている点である。実態の伴わないメッセージは、ウォッシュとして企業価値を大きく毀損する。本書は、その現実を海外事例やデータとともに冷静に示している。
終章で提示される「PR4.0実践に向けた7つの視点」は、一見難解にも見える。しかし読み進めるほど、広報とは「伝える仕事」ではなく、「社会とどのような約束を結び、それを実行し続けるのかを設計する仕事」へと変化していることが腑に落ちる。
PR4.0は、前向きな流行語ではない。広報の責任が重くなる時代において、自分たちは何を背負い、何を語るのか。その覚悟を静かに、しかし確実に問いかけてくる提言書である。広報担当者はもちろん、企業価値のあり方を考える経営者にも手に取ってほしい。
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定価:2,200円
(本体2,000円+税)
『新しい「企業価値」を創出する PR4.0への提言』
編著:株式会社 電通PRコンサルティング
本書は、電通グループ内のPR領域における専門会社である電通PRコンサルティングが2020年8月から3年間、月刊『広報会議』(宣伝会議発行)において連載した「データで読み解く企業ブランディングの未来」をベースに、現在、そして来るべき広報の未来に向けて加筆しました。
『PR4.0への提言』は、序章と7つの章で構成されています。序章では、まずPR(パブリックリレーションズ)の進化について振り返ります。PR1.0は情報拡散を目的としたPRとして位置づけ、その後はPRの効果測定の指針として世界的に採択されている「バルセロナ原則」(※)に照らし合わせ、現在、自分たちの、2.0(アウトプットからアウトカム)、3.0(インパクトの評価)としています。そして来るべき「PR4.0」はどこに向かうのかを、本書を通して考察していきます。
※本書は、PRプランナー資格認定制度において、2次試験(科目C:広報・PR実務に関する知識)の参考図書に選定されました。
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