経営者は電気社員の夢を見るか――自律型AIアシスタント「OpenClaw」の登場

※本稿で取り上げたOpenClaw、Moltbookに関する情報は2026年2月初旬時点のものです。プロジェクトの状況は急速に変化しており、最新の情報は公式リポジトリなどをご確認ください。

2026年1月末は、AIに関するニュースの洪水でした。各社の発表ラッシュ、株価の乱高下。毎日のように「これは取り上げなければ」と思う出来事が起き、追いかけているだけで息切れするような日々が続きました。

そんな中で、今回取り上げるのは「OpenClaw」というオープンソースプロジェクトです。

一見すると、「オープンソースのAIアシスタントが流行った」という小さな話に見えるかもしれません。しかし、このプロジェクトの周辺で起きていることが、どうにも気になったのです。

2カ月で10万GitHubスター。1週間で200万訪問。3回の改名。セキュリティ研究者からの警告。詐欺サイトの出現。そして、AIエージェントだけが参加できるSNSの誕生——―。

これらの出来事を追っていくうちに、ある古典SF小説のタイトルが頭に浮かびました。

フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(1968年)。映画『ブレードランナー』の原作として知られるSF小説作品です。今回は、この問いをガイドに考えてみたいと思います。

書影

フィリップ・K・ディック(著)、浅倉久志(訳)『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(早川書房)

経営者は電気社員の夢を見るか。

そして、電気社員たちは、夢を見ているのか。

OpenClawとは何か―週末プロジェクトから始まった

OpenClawは、オーストリアのソフトウェアエンジニアPeter Steinberger氏によって開発されたオープンソースの自律型AIアシスタントです。

Steinberger氏によれば、このプロジェクトは「WhatsApp Relay」という週末のハッキングから始まったといいます。WhatsAppからメッセージを受け取り、AIに処理させ、返事を返す。シンプルな仕組みでした。

それが2025年11月にリリースされると、予想を超える反響を呼びました。2カ月でGitHubスターは10万を突破。1週間で200万人がサイトを訪れる。GitHub史上最速クラスの成長を記録したプロジェクトの一つとなったのです。

OpenClawの基本的なコンセプトは、ユーザーのローカルマシンで動作する自律型AIエージェントです。

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生成AI時代のテクニカルディレクション
岡田太一(sync.dev Technical Director/Visualization Artist)

CG会社のDigital Artist からキャリアを開始。ポストプロダクションを経て、現在はビジュアルクリエイティブ領域にてテクニカルディレクションを担当。得意な分野は映像編集、ビデオ信号とリアルタイム合成、トラッキング関連など。2022年から『ブレーン』で連載中。

岡田太一(sync.dev Technical Director/Visualization Artist)

CG会社のDigital Artist からキャリアを開始。ポストプロダクションを経て、現在はビジュアルクリエイティブ領域にてテクニカルディレクションを担当。得意な分野は映像編集、ビデオ信号とリアルタイム合成、トラッキング関連など。2022年から『ブレーン』で連載中。

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