自治会活動をどう持続可能にするか――「むらの減築」
土地と同様に、自治会活動もまた、人口減少の影響を強く受けている。京都府のある地域で、私が共同代表を務めるNPO法人ムラツムギでは「むらの減築」と呼ばれる取り組みを支援している。むらの減築とは、人口規模に合わなくなった地域の活動や仕組みを、無理のない大きさへと畳み直しながら、豊かさを保つことを目指す考え方だ。
例えば、20年前には自治会に100人いたが、現在は50人しかいない。それにもかかわらず、役職の数は変わっていないというケースは珍しくない。結果として、一人が複数の役を兼務し、負担が増していく。しかし、地域に暮らす人ほど、「役を減らそう」「活動をやめよう」と言い出しにくい。
京都府では、こうした課題に対応するため、むらの減築を支援メニューとして位置づけている。私たちはその中で、いくつかのプロセスを重視している。
成り行き任せの縮小ではなく、意志ある縮充
まず行うのが、現状理解と目線合わせだ。むらの減築では、集落カルテを作成し、人口構成や地域活動の内容、役割分担の偏りなどを可視化する。このプロセスを経ずに議論を始めてしまうと、住民一人ひとりが異なる前提を持ったまま話し合いに臨むことになり、「行政に何とかしてもらう」といった依存的な発想に陥りやすい。
次に行うのが、活動の見直しである。ここで重要なのは、活動を一律に減らすことを目的にしないことだ。今回のむらの減築事業を通じた事例ではないが、例えば、ある地域では、毎年◯月15日に行っていた祭事について、担い手の多くが会社勤めとなり、平日開催では人が集まらなくなっていた。そこで「日にちを固定して続けること」を守るのか、「形は変えても祭事を続けること」を守るのかを議論し、最終的に開催日を第3日曜日に変更した。結果として参加しやすくなり、行事自体は継続されている。
同様に、自治会の会議回数を半分に減らし、これまで回覧板で行っていた連絡の一部をオンラインに切り替えることで、集まる回数そのものを減らした地域もある。集まること自体を目的化せず、「何のために集まっているのか」を問い直した結果だ。
役職についても、従来の形をそのまま維持するのではなく、役職の統合や簡略化を行い、兼務を前提にしつつ任期を短くすることで、特定の人に負担が集中しない設計へと組み替えた。役を減らすこと自体が目的なのではなく、「誰かが無理をし続けなければ回らない状態」を解消することに主眼が置かれている。ここでのポイントは、「残すか、やめるか」という二択にしないことだ。
見直しの補助線として、私たちは次の三つを使っている。
(1)やる量を減らす
(2)やる人を増やす
(3)やり方を変える
満足している活動は無理に変えなくていい。負担が大きくなっている活動に対して、この三つの補助線を使いながら、「どの形なら続けられるか」を議論する。そのうえで、決めた内容を実行に移す。
ここでも重要なのは、縮小=敗北ではないということだ。活動を減らすことで、かえって参加しやすくなり、関係性が良くなることを目指す。負担の大きい活動が参加のハードルになっている場合、量を減らすことで関わる人が増え、結果として関係性が保たれることも少なくない。
縮小を前提に、選び直すということ
耕作放棄地も、自治会活動も、本質的には同じ問いを突きつけている。それは、「これまでと同じ規模を前提にし続けることが、本当に最善なのか」という問いだ。縮充とは、縮小を受け入れるだけの態度ではない。縮むことが避けられない前提のもとで、どの関係を残し、どの機能をどう設計し直すのかを、意志をもって選び直すことだ。
人口は減っても国土は減らない。だが、すべてを同じように管理し続けることはできない。だからこそ、粗放的に管理する、期間を区切る、やり方を変えるといった選択肢が意味を持つ。完璧を目指さない、万能を求めない。それでも、人の暮らしが続くあいだは、できるだけ無理のない形で支える。これが、私たちが考える縮充の実践である。
次回は、こうした縮充の考え方を、産業という領域へと広げていく。人口減少によって市場そのものが縮小していくなかで、企業や事業は何を前提に組み替えられるのか。「拡大し続けること」を成長の条件としてきたこれまでのビジネスモデルは、どこまで通用し、どこから見直しが必要になるのか。
規模を追わず、関係を深める。 量ではなく、納得感や持続性を軸に価値をつくる。そうした視点から、人口減少社会における産業やビジネスのあり方を、現場での実践や事例を交えながら考えていきたい。
縮みゆく市場の中で、私たちは何を手放し、何を磨き、何を次の世代へ手渡していけるのか。「産業の縮充」というテーマで綴っていく。



