HRテクノロジーコンソーシアム、HR総研(ProFuture)、人的資本と企業価値向上研究会が実施した「人的資本調査2025」の結果が発表され、「人的資本リーダーズ2025」を6社選定した。
人的資本リーダーズは、優れた人的資本経営および情報開示に取り組む企業を、学識経験者による選考を経て選出するものだ。
調査は「体制・戦略・投資・PDCA・開示」までを横断
「人的資本調査2025」では、企業の人的資本経営の成熟度を多面的に測定するため、以下の観点でアンケート調査を実施した(調査は2025年9月10日から12月8日まで実施)。
・リスクと機会の分析と戦略の立案
・人的資本投資の実行
・データドリブンなPDCAサイクル
・ステークホルダーへの開示と対話
単なる制度の有無ではなく、戦略立案から実行、検証、開示までの一貫性を評価対象とした点が特徴だ。
「人的資本リーダーズ2025」6社と評価ポイント
さらに、優れた企業を「人的資本リーダーズ」および「人的資本経営品質」として表彰し、好事例を共有することで社会全体の取組推進を後押しする。
「人的資本リーダーズ2025」には以下の6社を選定した。
■エーザイ
評価ポイント:多様な人的資本KPIや財務指標の開示に加え、従業員インパクト会計やアルムナイ施策など、独自の人的資本経営モデルを確立。人材評価を点ではなく線で行い、社内外に持続的な関係性を築く革新的な取り組みを展開している
■SCSK
評価ポイント:ROIを意識した人的資本投資や組織改革に加え、戦略と人材施策の連動、インセンティブ設計を多角的に推進。共感経営や社員意識調査など、従業員の声を経営に反映する独自の仕組みを構築している
■九州電力
評価ポイント:高度専門人材の確保・育成、社内公募など複数の施策を組合せ、多様な人材活用を推進。QX(Qden transformation)や、ウィメンズ・カウンシル、健康施策など、分析的かつ先進的な人材施策を展開している
■東京電力ホールディングス
評価ポイント:人的資本インパクトパスや人事施策の優先領域を明確に策定し、経営トップから現場まで一貫した人的資本経営を実現。「従業員規模の大きい設備産業」という難易度の高い環境下で、独自のキードライバーとKPI連動による実効性ある取り組みを進めている
■三井物産
評価ポイント:戦略の中核に人材を位置づけ、人的資本投資と企業価値向上の相関を明示。多角的なキャリア形成機会や活躍の場を具体的に提示し、個の成長を重視する独自の人材方針を展開している
■ リンクアンドモチベーション
評価ポイント:CEOがCHROを兼任する体制で経営戦略と人材戦略を強力に連動させ、人的資本KPIやROIの持続的向上を実現。社員の働き方を具体的に発信し、人的資本リスク・機会分析など専門性を活かした取り組みを展開している
数値開示から「構造設計」へ
6社に共通するのは、
・経営戦略との明確な接続
・投資としての人的資本の位置づけ
・KPIと企業価値の因果関係の提示
・PDCAを回すデータ活用
・開示と対話までを含めた統合設計
という点だ。
人的資本開示の義務化を経て、評価軸は「開示しているか」から「構造として説明できているか」へと移行しつつある。今回の「人的資本リーダーズ2025」は、それを具体的に示す結果だと言えそうだ。
