急速に変化する市場環境のなかで、企業が継続的に成長していくためには、プロダクト単体の強さだけでなく、組織全体を横断して課題を見つけ、必要な領域に素早くテコ入れしていく推進力が欠かせません。クラウドソフトウエア『freee会計』などを提供することで知られるフリーの「セントラルマーケティング」は、まさにその役割を担う組織です。
今回お話を伺ったのは、広告クリエイターとしてキャリアを積み、BtoCの視点を武器にしてきたExecutive Creative Directorの沖之城典生(おきのじょう・のりお)さん。フリーのセントラルマーケティングで、「クリエイティブストラテジー」チームのマネージャーとして、戦略とクリエイティブをつなぐ役割を担っています。BtoB領域における文脈づくりから、社会課題を踏まえたコミュニケーション設計、そして自ら手を動かす内製の取り組みまで、この1年でどのような挑戦を重ねてきたのか。マスメディアン編集部が伺いました。
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「セントラルマーケティング」の役割とは
━━まず、所属する部門の「セントラルマーケティング」について伺いたいと思います。どんな役割を担っているのでしょうか。
セントラルマーケティングは、『freee会計』や『freee人事労務』、『freee販売』など会社全体のさまざまなプロダクトを横断して、「いまテコ入れが必要な領域」を支援する組織です。
従業員が約2000人いる中で、セントラルマーケティングは50人ほど。ボトムアップで動くフリーらしく、現場から次々と新しい動きが生まれるのですが、そのスピードの速さゆえに「小さく終わってしまう」こともある。そこにブーストをかけるのが僕たちの役目です。
フリー
Executive Creative Director
沖之城典生氏
早稲田大学法学部を卒業後、2003年にコモンズにコピーライターとして入社。日本経済広告社、ビーコンコミュニケーションズ、ジェイ・ウォルター・トンプソン(現・VML)と広告業界で活躍したのち、2022年に事業会社へ転身。ラクスル/ノバセルにて、ストラテジー&クリエイティブリードを務め、2024年10月より現職。
━━テコ入れの判断はどのように?
各事業部やプロダクト担当と会話しながら、「今期はここに集中しよう」と重点領域を決めます。課題は相次いでわき出ますが、そのカオスの中に「光る種」が見つかることも多い。フレキシブルに動けるのがこの組織の面白さです。
━━人事評価はどのようにされるのですか。
四半期ごとに目標を設定し、3カ月単位で動きます。クリエイティブにとって3カ月スパンというのは短いですが、そこは前職(ラクスルの子会社・ノバセル)で培ったスピード感が活きています。
多様な専門家が集まるチームに入った最初の1年
━━沖之城さんのチームには、どんな職種の方がいるのでしょうか。
セントラルマーケティングにはいくつかのチームがあります。僕がマネージャーを務める「クリエイティブストラテジーチーム」もその一つ。アートディレクター、デザイナー、PRプランナー、プロデューサーが集まっています。
BtoB領域では、プロダクトを「どんな社会的な流れや課題の中で必要とされるのか」という文脈づけが欠かせません。そのためセントラルマーケティングでは、例えば「インボイス制度」のような社会的テーマを深掘りし、事業との接点を見極める専門チームも設けています。
━━2024年10月の入社から1年と少し。これまでどんな仕事をされてきましたか。
いわゆるCMのような認知獲得施策から、新しいCEP(カテゴリーエントリーポイント)の開発、PRキャンペーン、事例広告、エリア攻略施策、ネーミング、LP開発、イベントのコンセプトづくり、ブランドコントロール、キャラクター施策など、できることはすべてやらせてもらっています。先ほどお話ししたように、BtoBは文脈づくりが勝負。社会課題に合わせたコミュニケーションをつくることや、メディアとの組み方も重要です。
━━事例集の制作も内製されているとか。
はい。BtoBは成果が見えづらいので、数字に着目したグラフィックやCM をつくり、誰が見てもわかりやすい形にしています。これらは社内だけでなく、営業資料や地域広告など社外でも幅広く活用されています。
内製という形にこだわっているわけではありませんので、いずれ外注する部分も出てくると思います。ただ、「どういうものが求められているのか」という温度感をつかむためにも、いまはできるだけ自分で手を動かすようにしています。
マスメディアン
取締役 国家資格キャリアコンサルタント
荒川直哉
マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名以上の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT 企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

