ファネル崩壊時代の顧客獲得法 大広が提唱する「感動CX」マーケティングとは

2月17日、18日に都内で開かれた「KAIGI GROUP フォーラム」(宣伝会議主催)において、大広の千葉剛氏と大谷拓氏が登壇。「ブランドを支える『質の高い顧客』の獲得方法 〜感動体験発想でコミュニケーションをリデザインする〜」と題し、同社が50年にわたるダイレクトマーケティングの支援で培った知見を紹介した。

企業の4割が抱える「新規が伸びない」という悩み

千葉氏は過去3年間で約100社の企業と対話してきた経験を振り返った。多様な業種の企業から相談を受ける中で、最も多く聞かれた悩みが「新規が伸びない」ことだったという。

写真 人物 大広 ダイレクトドリブンマーケティングユニット 兼 第3営業部 部長の千葉剛氏

大広 ダイレクトドリブンマーケティングユニット 兼 第3営業部 部長の千葉剛氏

この課題に対し、大広は長らく最適解を模索し続けてきた。1975年ごろのテレビショッピング時代から、1998年頃のメーカー通販時代、そして2020年以降のD2Cビジネス時代に至るまで、同社は常にダイレクトマーケティングの最前線に立ち、「コミュニケーションにとどまらず、その先の“売上”にこだわり支援してきた」という。CMが流れて何件電話が鳴るか、というレスポンスを追求。どうやったら人を動かせるのか、“売る広告”にこだわりつづけた。

その経験から導き出されたのは、商品スペックではなく顧客がベネフィットを本当に感じる「顧客価値」を突き詰めることだ。それこそが、人を動かし、行列をつくる。

講演の様子

「感動CX×フルファネル」で顧客獲得

大谷氏は、現代のマーケティング環境と、それに対応するためのプランニングについて解説した。デジタル化と情報社会化が進み、企業と顧客があらゆる接点で直接つながるようになった現代において、大広は「企業と顧客が直接つながるビジネスすべてをダイレクトビジネスと捉える」。この認識に基づき、50年の知見を体系化したのが、新しいマーケティングメソッド「ダイレクトドリブン・マーケティング」である。

このメソッドは、「ダイレクトビジネス発想で広告活動の先にある購買やロイヤル化までこだわることで『新しい顧客』と『推し顧客』を創造し続け、成果目標の達成までコミットする」と定義される。「推し顧客」とは、単なるファンを超え、推し活をするほどブランドを愛してくれる顧客を指す。

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このプランニングWAYは、大きく3つのステップで構成される。
(1)プランニングゴール設定:「どんな」顧客を獲得するかを定義する。
(2)感動CX(感動体験)設計:「どう」顧客を獲得するかを具体化する。
(3)伴走型PDCAマネジメント:施策を評価し、事業成長に貢献する。

STEP1:ゴール設定─「量」だけでなく「質」を問う

最初のステップであるプランニングゴール設定において、大谷氏は「量的理解」だけでなく「質的理解」の重要性を強調した。売上や顧客数といったマーケティング目標(量)を追うことは当然だが、それと同時に「いま、どんな顧客と、どんな関係性か?」「どういう価値を提供できているか?」というブランドと顧客の関係性(質)まで考えることが不可欠だという。

「同じ100人を獲得するなら、事業を支えてくださる『質の高い100人』を捉えたい」と大谷氏は述べる。この「質」の定義は、リピート率、愛着度、推奨度など、企業の事業課題によって異なる。「事業成長に効くか?」という視点から顧客の質を定義することが、最初の重要なプロセスとなる。

写真 人物 大広 ダイレクトドリブンマーケティングユニット 兼 ストラテジックプランニング局 大谷拓氏

大広 ダイレクトドリブンマーケティングユニット 兼 ストラテジックプランニング局 大谷拓氏

質の高い顧客像を規定するためには、既存顧客への深い洞察が欠かせない。N1レベルで顧客を徹底的に見ることで、誰が、なぜそのブランドを選び続けているのかを理解する。その上で、顧客の「こんな生活を送りたい」という本源的な欲求とを結びつける「体験価値」を設計することが、質の高い顧客関係を生み出す鍵となる。

STEP2:感動CX設計─心を強く揺さぶり、一気に顧客にする

次のステップは、顧客を動かす具体的な方法論としての「感動CX(感動体験)」の設計だ。大谷氏は、AIやSNSの浸透により、顧客が「AIDMA」のような直線的な購買ファネルをたどることは減っていると指摘。「ファネルの崩壊」が始まっている現代では、一つひとつの顧客接点でいかに心を動かすかが重要になる。

そこで大広が定義するのが「感動体験」である。これは、「心を強く揺さぶる体験でブランドへの愛着を一気に高める」アプローチを指す。涙が出るような感動だけでなく、「うれしい」「おどろき」「安心安堵」「興奮」など、心が動くあらゆる静的・動的な感情が感動体験に含まれる。

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この感動体験は、ロイヤルティを垂直的に高め、初期接点で好意形成を促すことを可能にする

STEP3:伴走型PDCA―3つのサイクルで事業成長にコミット

プランを実行した後は、その成果を正しく評価し、次につなげる「伴走型PDCAマネジメント」が重要となる。現代はメディア接触データ、Web行動データ、購買データなど、顧客のあらゆる行動がアクチュアルデータとして蓄積され、フルファネルでつながる時代だ。これらのデータを活用し、顧客の行動・結果にコミットしたKPIを設計することが求められる。

大広では、3つのPDCAサイクルを回しながら事業成長に伴走するという。
(1)エグゼキューションPDCA:施策ごとに顧客をどう動かせたかを評価する。
(2)マーケティングPDCA:フルファネルで顧客がどう動いたかを評価する。
(3)ビジネスPDCA:顧客の行動が売上や事業収益といったビジネス構造にどう影響したかを評価する。

特に3つ目のビジネスPDCAは、事業のボトルネックを特定し、そこにヒットする施策を打てているかを検証する上で極めて重要であり、ダイレクトビジネスを支援してきた同社の強みが生きる部分だと説明した。

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「感動体験」のケーススタディ

3つのケーススタディを通じて、このプランニングWAYをどのように実践しているかを紹介した。

CASE1:食品系D2Cブランド

「大量獲得・大量離脱」が課題だったこのブランドでは、顧客インタビューから、継続顧客が「半外食みたいな気分」という価値を、離脱顧客が「時短で便利(価格が高くてやめた)」という価値を感じていたことが判明した。そこで、「獲ってから育てるのではなく、育つ人を獲る」という発想に転換。「時短」という価格競争に陥りやすいカテゴリー共通価値ではなく、「自分では思いつかないメニューで『楽しい発見と驚き』ある食卓にできる」という独自価値をテレビCMで訴求した。結果、メニュー訴求のCMが最も購買意向を高めることがわかった。

CASE2:大人男性向けスキンケア

男性にとってもスキンケアをより身近なものにしていくことを目指したこの事例では、実際に商品を使った男性が見た目の優劣ではなく、セルフケア体験により前向きな気持ちに変化したインサイトを発見。この初体験ゆえの「感動と興奮」をコミュニケーションの核に据えた。驚く表情をキーにしたテレビCMを起点に、サンプリングや使い方講座、イベントなどを通じて体験価値を拡張・増幅させるファネルを設計し、ターゲットの間口を拡大した。

CASE3:大広の採用活動

自社の採用活動もダイレクトマーケティングの一環と捉え、プランニングWAYを適用。大手競合に選ばれづらいという課題に対し、採用スタンスを「選ぶ」から「向き合う」へ転換した。エントリーシートを「ダイアログシート」、面接を「テーブルダイアログ」と名付けるなど、「対話」が生む“むねあつ”体験を設計。結果、就活人気ランキングが304位から83位へ上昇し、エントリー数や内定受諾率も大幅に改善したという。

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お問い合わせ

株式会社 大広
ビジネス戦略本部
広報局 広報部

EMAIL:info@daiko.co.jp
TEL:03-4346-8111
URL:https://www.daiko.co.jp/

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