プロ野球・横浜DeNAベイスターズの親会社であるディー・エヌ・エー(DeNA)は、球団の強化におけるAI活用の取り組みを強化している。3月6日に開かれたDeNA AI Dayでは、投手の「コマンド能力」を定量化し、1軍レベルまでの距離を可視化するAI事例と、属人的だったグッズ発注の見える化を測った需要予測AIの事例が紹介された。
DeNAは、横浜DeNAベイスターズで進めるAI活用について、競技面と事業面の両軸から説明した。競技面では捕手に関するAI活用を数年前から進めてきたほか、投手では2025年春から現場導入を本格化。打者についても2025年7月からプロトタイプ運用を始めたという。
制球力だけでない複数の1軍レベル数値をAIで算出
チーム強化の領域では、DeNA IT本部 AI・データ戦略統括部の大西克典氏が、投手AIの取り組みを紹介した。中心となるのは、投手が「狙ったところに投げられているか」を示す「コマンド能力」の計測だ。従来の「ストライクかボールか」という見方だけではなく、ミットの構えた位置と実際の投球位置を照らし合わせることで、真の制球力をより精緻に捉えようとしている。
ただ、大西氏は「コマンドが高ければそのまま1軍で活躍できるわけではない」と説明する。そこで同社は、コマンドそのものの計測精度を追うだけでなく、「1軍レベルの投手になるには何が足りないのか」という観点に開発方針を転換。他のデータも組み合わせながら、各投手の現在地と1軍ラインまでの距離を定量的に示せるようにした。これにより、どの能力をどれだけ伸ばせばよいのかを、より具体的に可視化できるようになったという。
2024年シーズンにプロトタイプ運用した結果、想定以上のニーズが確認できたことから、2025年シーズンにはWebシステム化して本格導入した。現場では、投手コーチや監督、アナリスト、R&D部門などが参加する定例ミーティングにAIデータを持ち込み、選手ごとの課題や改善策を議論。さらに育成カルテミーティングで目標設定に活用するほか、日次レポートとして登板翌朝までに振り返れる仕組みも整えた。
