開校20年、10代の「居場所」をデザインし続ける『SCHOOL OF LOCK!』のこれからをプロデューサーに聞く

20年にわたり、10代の圧倒的な熱量と信頼を集め続けるのが、TOKYO FMをはじめJFN38局ネットで放送するラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!(スクール・オブ・ロック)』だ。「音声メディア」の枠を超え、10代の“居場所”として機能するこの場所で、企業は次世代とどう深く結びつくことができるのか。プロデューサーの藤岡泰弘氏に、そのヒントを聞いた。

20年間変わらない「10代のサードプレイス」

2005年10月3日に放送を開始したラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!』。「未来の鍵を握るラジオの中の学校」をコンセプトに、パーソナリティを「校長」「教頭」、日替わりコーナー担当のアーティストを「講師」と呼び、TOKYO FMから全国38局ネットで月曜から金曜の夜10時から11時55分まで、“授業”を届けている。

長きにわたり全国の10代リスナー(=生徒)に寄り添い続けてきた。プロデューサーの藤岡泰弘氏は「学校や家庭では解決できないモヤモヤを真正面から受け止め、寄り添う『居場所(サードプレイス)』としての機能が番組の根幹です。SNSによる精神的な負荷が増すなど、10代を取り巻く環境は様変わりしましたが、彼ら彼女らの心の在り方に向き合うスタンスは20年間変わりません」と語る。

写真 人物 TOKYO FMプロデューサー 藤岡泰弘 氏

TOKYO FMプロデューサー 藤岡泰弘 氏

営業局で15年のキャリアを積み、2025年4月にプロデューサーに就任しバトンを受け継いだ。セールスの立場から番組を見ていた当時から、その独特の熱量を感じていたという。

「立ち上げ当初から、番組のWebサイトにある『学校掲示板』(BBS)に書き込まれた悩みに対し、放送に出る・出ないにかかわらず、スタッフが毎日何人もの生徒と直接電話で対話してきました。夕方4時過ぎになると、制作フロアの片隅から『それでそれで? へえ、そんな彼氏やだね』といった話し声が聞こえてくるんです。外から見たら『この人たちは何の仕事をしているんだろう』と思われるかもしれませんが(笑)、この放送には乗らない膨大なコミュニケーションの積み重ねこそが、番組への強烈な信頼感を生み出しているのだと思います」

「居場所」としての機能は、時にパーソナリティの言葉を超え、生徒同士の強い絆を生み出してきた。2017年の卒業式前のこと。3年間不登校で「卒業式に行きたくない」という生徒と生放送で電話をつなぎ、校長と教頭が話を聞く中で、他のリスナーたちに「しばらく学校に行けていない子が卒業式に来たらどう思う?」と投げかけた。すると全国から「すごく嬉しい、絶対に来てほしい」「みんなで卒業したいじゃん」という声が次々と寄せられた。パーソナリティの言葉だけでなく、全国の“同級生”たちが背中を押してくれたことで、その生徒は無事に卒業式へ参加できたという。

「普段は言えないような本音を寄せ合い、生徒同士が一緒になって考えてくれる。他の媒体では決して成し得ないこのコミュニティの力こそが、番組の真髄ですね」

2025年の夏休み明けには、「しんどー相談室」と題して、学校に行きたくない生徒たちの声に耳を傾ける企画を一週間にわたり実施した。

「聴覚過敏のためにつけているイヤーマフへの視線が気になって学校に行けない、という悩みを抱えた生徒に、校長と教頭が真っ直ぐに向き合って声をかけました。すると数カ月後、その生徒から『勇気を出して学校行ってみました』と書き込みがあったんです。その場限りのコミュニケーションで終わらず、リスナーの人生に寄り添い、背中を押し続けられたのなら本当に嬉しいですね」

リアルイベントはマネタイズより「一生の記憶」に

藤岡氏がプロデューサー就任後、特に力を入れているのがイベント展開だ。

「コロナ禍で一度イベントが途絶え、番組からの発信が少し疎かになっていた感覚がありました。リスナーとの毎日向き合う中で生み出される大小様々な物語を、最適なタイミングでリアルな場として世の中にアウトプットし、熱量を社会に広げていく必要があると考えていました」

その象徴となったのが、3月28日に開催されたばかりのライブイベント『SCHOOL OF LOCK! 20th Anniversary MY GENERATION 2026 supported by マイナビ』だ。6年間にわたり番組を牽引してきた「こもり校長(小森隼/GENERATIONS)」の卒業という、番組にとっての大きな物語を軸に企画。こもり校長が所属するGENERATIONSのほか、番組で「永遠の新入生」として金曜のレギュラーを務め、本人とも親交の深いSUPER BEAVERらがゲスト出演した。

グラフィック SCHOOL OF LOCK! 20th Anniversary MY GENERATION 2026 supported by マイナビ

「日々の番組の文脈(コンテクスト)があるからこそ実現できた組み合わせです。10代はお財布に限りがありますし、『大きな会場で収益重視のイベントをやろう』という考え方は違う。単なる音楽イベントではなく、『今しかない貴重なタイミングで、記憶に残る体験を届けたい』を第一に考えました。この思いに深く共感してくださったからこそ、今回のマイナビ様のような、単なる広告枠を超えた特別な協賛が生まれるのだと思います」

4月1日からは「こもり校長」を支えてきたアンジー教頭(アンジェリーナ1/3)が新校長に、また新たに芸人の溝上たんぼが教頭にそれぞれ就任して新体制を迎える。

写真 アンジー校長(左)とたんぼ教頭による新体制に

アンジー校長(左)とたんぼ教頭による新体制に

もう一つの看板イベントが、10代限定の音楽フェス『閃光ライオット』だ。“音楽の甲子園”として2008年にスタートし、Galileo Galileiや緑黄色社会など人気アーティストを輩出してきた。応募資格は10代であることだけ。「上手い・下手」では測れない、剥き出しの衝動をぶつけるステージだ。

「『未来の鍵を握る』というコンセプトを具現化したのが『閃光ライオット』です。将来への不安を抱える10代に、音楽で自分を表現するという、とてつもないエネルギーをぶつける場所を提供する。ファイナルに進めなくても、そこでの体験が良い思い出や次へ進むヒントになる。そんな場を、スポンサーの皆様と共に創り上げています」

写真 ライブの様子

「マイナビ 閃光ライオット2025 produced by SCHOOL OF LOCK!」でグランプリに輝いたバンド「めっちゃ美人」

企業と10代の「物語」を掛け合わせる

こうした圧倒的な熱量を持つコミュニティに、企業はどう関わっていくことができるのか。藤岡氏は、少子化が進み、10代へのマーケティング投資の形が問われる今だからこそ、「広告指標だけでは測れない価値」と「ビジネスとしての成功」を両立させることが自らのミッションだと藤岡氏は語る。

「我々は日々、生放送の枠の中で10代のリアルな悩みや喜びと向き合っています。この番組が持つ『彼らの人生の文脈』と、企業が伝えたい『広告要件』をうまく合流させ、深く心に届く成功事例を作っていきたい。単に広告枠を売るのではなく、『企業としてこういう想いを10代に届けるべきだ』という理念の部分からご一緒できるのが理想です」

実際にその理想を形にしたのが、2025年3月に実施したトヨタ自動車との特別企画「卒業ドライブ」だ。番組で「高校生活でやり残したこと」を募集し、選ばれた生徒が、こもり校長・COCO教頭(CRAZY COCO)と共にトヨタのクルマで夢を叶えにいく様子をスペシャルムービーとして公開。バンドデビューを夢見る高校生や、親友と海に行きたいと願う高校生の特別な一日を、パーソナルに演出した企画だ。

「高校卒業後に車を購入する生徒に向けて、『ファーストブランドとしてトヨタを想起してほしい』というご相談から始まりました。10代の忘れられない体験作りに企業が伴走し、その思い出の中に自然に車が存在する。こうした『物語との掛け算』が我々の最も得意とする形ですね」

また、第一三共ヘルスケアの「ロキソニン」との取り組みでは、「みんなの生理痛プロジェクト for TEEN」と題し、番組内で生理痛に関する特別授業を実施。産婦人科医をゲストに招き、10代が抱えるリアルな悩みに向き合った。

「生理痛の悩みや金融などのリテラシー教育など、社会課題として10代に正しく伝えるべきテーマを番組の文脈の中で届ける。このような啓発的なアプローチも、企業とご一緒できる大きな価値だと感じています。

『SCHOOL OF LOCK!』という舞台には、まだ世に表出していない10代特有の心理状態や、親にも言えない悩みが集まっています。中長期的なブランドとの関係構築の場として、ぜひ『SCHOOL OF LOCK!』を活用していただきたいです」(藤岡氏)

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お問い合わせ

株式会社エフエム東京

URL:https://www.tfm.co.jp/
「SCHOOL OF LOCK!」公式サイトはこちら

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