「何者でもない」学生に向けた、博報堂の採用コミュニケーションの変遷
博報堂は近年、就職活動を行う学生に向けたメッセージを発信し続けてきた。かつては「答えは、きみの中にある。」というメッセージを掲げていた。その後、2024年卒、2025年卒採用では「何者でもないって、最強だ。」というメッセージに刷新し、採用コミュニケーションの主軸に据えた。
2023年卒向けの採用コンセプト
2024-2026年卒向けの採用コンセプト
このメッセージは、就職活動に不安を抱える学生に対し、博報堂が寄り添う姿勢を示すものだ。クリエイティブディレクターを担当した山﨑博司氏によると、いま“何者かになって”活躍している博報堂の社員自身も学生時代は“何者でもなく”、入社後に周囲のサポートを受けて成長した経験があるという。ありのままの学生を肯定するメッセージとして展開された。
この方針のもと、採用サイトでは「何者図鑑」というコンセプトで、社員を「〇〇者」として紹介したり、仕事が作られる過程を可視化したりするなど、デジタルコンテンツの充実に注力してきた。
デジタルからリアルへ、採用冊子「MY KNOWTEBOOK」が生まれた背景
新卒採用サイトのコンテンツは充実していたが、コロナ禍以降、採用冊子の制作が途絶えていたことが課題であった。博報堂に興味がある学生はサイトを訪れるが、それ以外の学生層にアプローチする新たな接点として、採用冊子の必要性が浮上した。
制作にあたっては「社員は載せない、事例も載せない」という方針があった。この制約の中で会社として何を伝えられるかが論点となった。企画当初は「何者でもないって、最強だ。」というメッセージとの関連付けも検討されたが、山﨑氏は「採用冊子は就職活動の時期だけでなく、それ以降も使えるようにしたいので、何者だけに閉じるようなコンテンツにはしたくない」という意図から、その方向性は見直された。
丸タックと紐で閉じられた「MY KNOWTEBOOK」の外装
就活生の「必須ツール」から着想、自己分析をより深く掘り下げる88の問い
企画チームが着目したのは、博報堂がエントリーシートの一種として提供してきた「Personal Core Sheet」の存在である。このシートは、博報堂の選考を受ける学生だけでなく、他社を受ける学生の間でも自己分析のための推奨ツールとして広く浸透していた。


