新刊『計画しない人はうまくいく 帳尻合わせのキャリア論』(中村洋基著)から、書籍本編には収まりきらなかった「幻の書き下ろし原稿」を特別公開します。
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『計画しない人はうまくいく 帳尻合わせのキャリア論』(中村洋基著、定価2,200円+税)
ぼくは短期決戦型の過集中でなんとか人生を乗り切ってきたタイプなので、時間をかけるものは苦手だ。
しかし、どうしても、時間をかけて鍛錬しないと身につかないものがある。いつだって習慣は最強の武器であり、短期決戦のウサギは、淡々とつづけてきたカメには絶対に勝てない。
たとえば、英語。
カンヌ広告祭の審査員で、まったく英語が通じなかったルサンチマンから、英会話はずっと続けているが、なかなか上達せずに伸び悩んでいた。
忘れもしない2008年、あらゆる広告賞のグランプリを総ナメにした、ユニクロの「UNIQLOCK」の審査をするときに、
「この素晴らしい作品は日本の特徴的な文化にも起因しているはず。中村さん、説明してください」
と、審査会場で唯一日本人のぼくに振られて、ぼくがしどろもどろに
「ディスイズアスクリーンセーバー」
などと大した説明ができなかったため、ぼくの部門だけグランプリではなくシルバーになってしまった。他の日本人審査員がいない部門のほうが、むしろグランプリだったので、完全にぼくが足を引っ張る格好になった。今はじめてこの話を書く。UNIQLOCKの産みの親、田中耕一郎さん、すみません。何がディスイズスクリンセーバーだと、当時の自分に投げっぱなしジャーマンスープレックスをかましたくなる。
英語の中でも、日本人は文法が得意でも、リスニングとスピーキングは苦手なことが多く、こちらは「大いなる慣れ」といわれている。英語圏であれば、どんなに勉強ができない子供でもしゃべれるからだ。これは勉強というより、いかに人生の時間において英語に囲まれる環境におくか、という環境変化の工夫をしたほうがよい。
ぼくの場合、仕事においてはテトリスのようにみっちりとスケジュールが組まれてしまっているので、まとめて英語漬けになる時間を捻出することができない。オンライン英会話も2年ほど続けたところで、まったく改善の兆しが見えなかった。そこで、ちょっとした移動時間や、運転中、トレーニングしながら、ポッドキャストの英語をながら聞きする習慣を取り入れるようにした。ぼくは普段なら、移動時間や、散歩ですら「時間のムダ」と思ってしまうほどせっかちな人間だが、英語のリスニングと一石二鳥に時間を使えていると思うと、不思議とやるのが楽しくなる。
