海運を軸に事業領域とグローバル展開を広げる商船三井。2026年度に始まったグループ経営計画「BLUE ACTION 2035」のPhase 2では、「人と組織の力」の最大化を、持続的な成長を支える経営基盤の一つに位置づける。多様な人財が同じ方向を向き、自ら考えて行動する組織を、いかに実現するのか。取締役 常務執行役員 チーフ・コミュニケーション・オフィサー(CCO)の園田早苗氏に聞いた。
商船三井
取締役 常務執行役員 CCO
園田早苗氏
百貨店業界で約30年、営業・人事・経営企画や広報・IR責任者を歴任。2021年に商船三井へ入社し、取締役 常務執行役員 CCOとしてグループのブランド戦略・コミュニケーション活動を統括。
カルチャーは行動変容の結果
━━まず、園田さんのご担当領域を教えてください。
チーフ・コミュニケーション・オフィサーとして、グループ横断のブランディング戦略を担っています。IR、メディア広報、インターナルコミュニケーション、宣伝、SNSなどを通じ、ステークホルダーとの信頼関係を築くことが役割です。コーポレートコミュニケーションは、企業活動を一つのストーリーとしてつなぐ仕事です。私自身もボードメンバーとして、経営とコミュニケーションの双方に責任を持っています。
━━貴社が事業や組織の変革を進める中で、コミュニケーション部門にはどのような役割が求められていますか。
まず明確にしたいのは、コミュニケーション部門がカルチャーを直接変えるわけではないということです。それを担う機能が、一部署にあるわけでもありません。
経営は方向性を示し、人事は制度をつくり、事業部門は経営計画を行動に落とし込みます。最終的に社員一人ひとりの行動が変わり、その積み重ねの結果としてカルチャーが変わっていくのだと考えています。
コミュニケーション部門の役割は、その一連の流れをストーリーとして紡ぎ、社員の行動に意味づけをすることです。経営、人事、現場の動きをつなぎ、行動変容を促進していく。カルチャーを直接つくるのではなく、変革の旗振り役になるという位置づけです。
「言わなくても分かる」を越える
━━そうした行動変容が求められる背景には、事業や組織の変化があるのでしょうか。
当社は、海運を軸に「グローバルな社会インフラ企業」への飛躍を目指しています。海外では地域組織が主体的に経営を担い、事業も例えばLNGの輸送から生産・供給など上流・下流へ広がっています。
事業領域の拡大に伴い、M&Aで加わった社員やキャリア採用者など、異なる経験や背景を持つ人も増えています。日本と海外、本社とグループ会社、プロパー社員とキャリア入社者など、多様な人財が一緒に働くことを前提に、DE&Iを進める必要があります。
━━人や事業の広がりによって、従来の組織風土のどのような部分を見直す必要が出てきたのでしょうか。
もともと当社には、顔と名前が一致し、互いをよく知る、信頼関係を基盤とした組織風土がありました。一方で、人や事業が広がると、「言わなくても分かる」「(前提の共通認識があるので)少し話せば分かる」というハイコンテクストなコミュニケーションだけでは成り立ちません。異なる背景を持つ人には、同じ伝え方が通用するとは限らないからです。
