前回は、過去のトリップグラフィックで、ウケたものとウケなかったものを集計して発表させていただきました。中でも最も反響が大きかったものとして、「外国でやってはいけないハンドサイン」のトリップグラフィックをご紹介しました。
が、実はこれ以上に反響が大きかったコンテンツが、世界の絶景スポットをまとめたトリップアドバイザーバケットリストにあったのです。
「バケットリスト」とは、死ぬまでにやっておきたいことリストを意味する英語の俗語です。
トリップアドバイザーバケットリストは、死ぬまでに行ってみたい世界の驚くような絶景をテーマごとにリストアップし、定期的に公開しているコンテンツです。旅のさまざまな魅力の中でも、センスオブワンダー(sense of wonder)に主眼を置き、神秘的な「世界の洞窟」や迫力満点の「世界の名瀑」、から落ちそうで落ちない「絶妙なバランスの岩場」やホテルのベッドに飾られた「芸術的なタオルのデコレーション」まで、さまざまなテーマで世界のスポットを紹介しています。
そして、これまでに発表した20のリストの中でも、前回ご紹介したハンドサインのトリップグラフィックを超える反響をいただいたのが、世界の滝でも岩場でも城でも洞窟でもなく、「世界の図書館」のバケットリストでした。
自分たちで発表しておいてこんなことを言うのもおかしな話ですが、海外旅行で図書館に行く人なんてそんなにいるものでしょうか?と思うのですが、メディアでそれほど取り上げられたわけでもないのに、5000を超えるフェイスブックの「いいね!」をいただきました。
なぜ世界の図書館という、かなりニッチなテーマがこんなに「いいね!」されたでしょうか? これはあくまで予測(というより勘ぐり)ですが、フェイスブックで「いいね!」する行為には、意識的か無意識かは別として「こういうコンテンツを『いいね! 』する自分アピールしたい」という心理が、少なからず働いたのではないかと思います。
誰もが評価しそうな世界の名城や洞窟といった普通のコンテンツより、ちょっとひねった図書館のバケットリストというのは、ポイントが高かったのではないでしょうか。そして、同じくひねったテーマでも、絶妙なバランスの岩場に興味津々の変わった人と思われるより、海外の図書館に興味がある知的好奇心が旺盛な人と思われたい人の方が多いのはごく自然なことかもしれません。
というわけで、ソーシャルメディアでのシェアを増やすには、ちょっと自尊心をくすぐるタイプのコンテンツというのが有効かもしれません。ただし、こういうことは意図して狙うと、鼻についてうまくいかないことが多いので、あくまで頭の隅においておく程度にしておくのが良さそうです……という結論で、本コラムの最終回とさせていただきます。お付き合いありがとうございました。
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