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いま求められる人材は、ワクワクする「未来図」が描ける人

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前回のコラム「広告業界は “ 自由演技 ” を行える幅が広がっている」はこちら

木村健太郎さん(博報堂ケトル)、磯部光毅さん(磯部光毅事務所)は、戦略畑、クリエイティブ畑を行き来しながら、戦略からクリエイティブまで横断的にかかわりながら仕事をしているクリエイティブディレクター/アカウントプランナーです。
昨年、二人が執筆した『ブレイクスルーひらめきはロジックから生まれる』は、「何かを解決する時に、自分たちはどうやってブレイクスルーしているのか」、そんな疑問から生まれました。自分たちの仕事や現状を常に分析しながら、新しいクリエイティビティや戦略を生み出す木村さん、磯部さん。そんな二人が、いま広告業界にはどんな資質が求められているのかを自分たちの経験を振り返りながら、分析します。

広告・メディア業界を目指す学生の皆さんに「新しいコミュニケーションビジネス」を創る3人の著者がアドバイス

【バックナンバー】

第3回:「ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる」

著者
木村健太郎さん(博報堂ケトル 代表取締役共同CEO/エグゼクティブ クリエイティブディレクター/アカウントプランナー)
磯部光穀さん(磯部光毅事務所 アカウントプランナー/コピーライター)

木村:広告マスコミ業界を目指す学生の皆さんに、この業界で働く楽しさや求められる資質を語る、という企画なんだけど、何から話しはじめようか?

磯部:いまって、僕らが入社したころの広告業界と随分違っていて、だからきっと求められるものも違うのかなって思うんです。そこら辺から話すのはどうですか?

正解のない課題に答えを見つける仕事。そこに求められる資質とは。

木村健太郎さん(博報堂ケトル 代表取締役共同CEO/エグゼクティブ クリエイティブディレクター/アカウントプランナー)

木村:たしかに。1990年代は、商品が市場で売れるためのある程度しっかりした必勝パターンがあって、広告会社にはその分野別のスキルに習熟した先輩たちがたくさんいた気がする。だから僕らはその先輩のやり方をしっかり学ぶことに集中していればよかった。マーケターは戦略策定のフレームを、コピーライターはコピーの技を、CMプラナーはCMの作り方を、営業は営業のスキルを懸命に覚えればよかったという風に。

磯部:たしかに1990年代までは、広告業界に限らずどの業界にもある程度確立した「型」のようなものがあったように思います。先輩たちが1950年代からの高度成長期、そしてバブル期につくった「型」ですよね。

木村:でもいま思うと、2000年代中盤からくらいから、そのやり方を継承するだけでは、通用しなくなってきたような気がするんだよね。前例も必勝パターンもない「正解のない課題」ばかりになったから、課題解決の手法もひとつひとつ新しく自前で開発しなければいけなくなった。

それは、経済が右上がりでなくなったことも関係しているし、メディアの多様化やデジタルテクノロジーの浸透やソーシャルなどの新しいコミュニケーション手法が広告業界に入ってきたことも大きい。今考えると「手口ニュートラル」を標榜してこの時期にケトルを設立したのもそんな時代の変化の要請だったと思う。

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