渋谷の横丁で見かけた、小さな店の出入り口にぶら下げられた惜しい掲示【写真左】。「書く者中心」だと、ついついこういう表現になっちゃいますよね。これだと、お店の人が出掛けた直後でも、9分経過してても、ずっと「今から10分待ち」のまま。3分のネット動画でも「長い」と飽きられる御時世、せっかくあと1分待てばOKというタイミングで訪れたお客も、この掲示を見て帰っちゃうこともあるでしょう。
さすがに無いとは思いますが、「1時間で戻ります」なんて書いてあったら(笑)、59分のタイミングでやって来た客も、確実に帰ります。もったいない話です。
この場合、「10分」の起点を知らない《見る者にもわかる》ように、【写真右】のように帰る時刻のメドを書いておけば、それに近いタイミングで来た客は、待ってくれるかも知れませんよね。
このお店の人は、いちいち「3時半」などと書くのが面倒で、「10分程」「20分程」(?)といった幾つかのパターンの札を用意していて、パッと掲げて外出しているのかも知れません。多少の客を逃がしても、その便利さを優先したい、ということなら、それも1つのポリシーです。でも、そんな確信犯ではなく、ただうっかりこういう「書く者中心」パターンの表現をしちゃってることはないか、ちょっとあなたのお店の表示類もチェックしてみませんか。
申し遅れましたが、私は下村健一と申します。TBS局アナを経て、ニュース番組などでフリーキャスターを務めた後、政府の招請を受け民間登用で内閣広報室審議官も2年間務めました。職業柄、常に「いかに分かりやすく伝えられるか」を念頭に仕事に取り組んできたため、街中を歩いていても「もう少しこうすれば、もっと伝わりやすくなるのに…」という惜しいコンテンツを目にすると、助太刀したくてムズムズします。
このコーナーでは、街中で見かけるそんな「惜しい看板・掲示」を採り上げて、下村健一がちょっとひと工夫で伝わりやすくなるようにアドバイスします。プロのコピーライターを頼むレベルの一流表現を目指すのでなく、まずは素人でも簡単に出来ることから、小直しを始めてみませんか。
あなたが街で見かけた、ビミョーに伝わらないおしい看板。自分で作ってみたけれど、今一つ手応えがないおしい掲示。そんな実例の写真を、簡単な状況説明を添えて「kouhou@sendenkaigi.co.jp」までお送りください。採用されたコンテンツに対し、下村氏が当欄でアドバイスいたします。
「街中の“おしい”をレスキュー!」バックナンバー
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