お芝居には正解がない、満足したら辞めていますね
足立:オーラがないと自分ではおっしゃっていますけど、芸能人というよりも、人としてのオーラ・雰囲気がありますね。
松岡:ありがとうございます(笑)。
足立:映画『桐島、部活やめるってよ』や『あまちゃん』の演技を見て、ぜひ一度お会いしてみたかったんです。芸能界に入るきっかけは妹さんがスカウトされたとか?
松岡:はい。妹の面接の時に、母が私も連れて行っていたので、「せっかくならお姉ちゃんも」ということになりまして。子役からやってきましたけど、ずっとお芝居への苦手意識があって、俳優を本気で目指したのは15歳の時からです。
足立:どの辺が苦手だったんですか。
松岡:週1回事務所のレッスンに通っていたんですけど、ある日、ニール・サイモンのシチュエーションコメディーの台本をやることになり、当時は、恥をかきたくない気持ちが強くて、お腹痛いふりして帰ったりしていました。後々聞いたら、全部バレていたみたいですけど(笑)。
足立:今の演技の評判からすると意外ですね。苦手意識を変えるきっかけはあったんですか。
松岡:単純に好きだって気づいたんです。本当にふと、なんですけど、ずっと苦手とか嫌いって思っていたお芝居が、もしかすると好きなのかもしれないと。それを認めることで、うまく回り始めました。
足立:なぜお芝居が好きだって、その時気づいたんでしょうか。
松岡:終わりがないし、正解がないからですかね。格好つけた言い方ですけど、もう逃げられないというか。先輩の素晴らしいお芝居を見たりすると、ああいう演技をするまでは辞められないなと思います。自分のお芝居に対して、満足することができないんです。むしろ、満足したら辞めていますね。
足立:真面目ですね。お芝居にはドラマや映画、舞台とありますが、どれが一番好きですか?
松岡:どれがというのはないですが、演技ができる限り、どれもすごく楽しいです。
足立:松岡さんの演技を見ていると、内面から演技をされているように感じます。一方で、バラエティの感じはまた違いますね。
松岡:最初のお仕事が『おはスタ』だったので、ホームはバラエティだという意識があります。プロデューサーの方々にも思ったままにやってくれと言われているので、自然体でやらせていただいています。バラエティは楽しくて刺激的であると同時に、安心する場所です。
足立:自然体で、本当に思っていること言っていますよね。それと、「昭和的」とよく言われるそうですが。
松岡:よく言われます(笑)。自分でも何となく分かりますね。おばあちゃん子だったので、茶色の食べ物が好きですし。
足立:茶色の食べ物!?
松岡:筑前煮や田舎汁、炊き込みご飯とかのことです(笑)。
足立:なるほど。本も読まれるとか。
松岡:父と母の影響ですね。サブカルチャーから心理学、社会風刺の本まで、結構何でも読みます。生活の中に常に本はありました。
足立:これまで感銘を受けた本は。
松岡:青春のバイブルは、山田詠美さんの本ですね。中高生の時は、ずっと、しかも何度も読んでいました。あと、『悼む人』(天童荒太著)には死生観を変えられました。読んだ当時は、17歳くらいでしたけど、生きるとか死ぬとかをすごく考えさせられて。
足立:17歳で読むと強烈ですよね。死生観はどう変わったんですか?
松岡:初めて「生かされている」と思ったんです。生きているじゃなくて。
足立:17歳の時ですか。僕は最近になってやっと、よくよく考えると、生かされているんじゃないかという心境になりましたよ(笑)。
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