<登壇者>
- 鹿島建設 広報室 次長 財部 浩司 氏
- 三井物産 広報部長 磯﨑 憲一郎 氏
- サッポロホールディングス コーポレートコミュニケーション部長 梅里 俊彦 氏
アドタイ・デイズでは「インナーコミュニケーションで強い会社をつくる」と題し、企業活力を生み出す社内(インナー)コミュニケーション施策について、鹿島建設 広報室次長の財部浩司氏、三井物産 広報部長の磯﨑憲一郎氏、サッポロホールディングス コーポレートコミュニケーション部長の梅里俊彦氏の3人によるパネルディスカッションを開催した。まず、事業のグローバル展開を見据えた広報について三井物産で広報部長を務める磯﨑憲一郎氏が語った。
社員が“メディア”の「三井物産ブランド・プロジェクト」
三井物産では、2014年5月に、佐藤可士和氏をトータルプロデューサーに迎え、「三井物産ブランド・プロジェクト」を開始したことを公表した。従来は貿易をメインとしたビジネスモデルであったが、近年は大規模な資源プロジェクトへの参画や、食糧や医療分野への出資など、グローバルに様々な事業を展開しているため、「三井物産がどのような会社なのか、他社とどう違うのか」を、改めて、広く分かりやすく発信し、他社との差別化をはかる必要性が出てきたという。
同年9月には、新たなロゴやスローガンを発表。ロゴは、今まで世界各地の拠点で色や形がバラバラだったものを統一し、ロゴに含まれる社名も「MITSUI&CO.」の英語表記とした。さらに、“グローバルにあらゆる分野で新たな事業を生みだしていく”という意味のスローガン「360°business innovation.」を策定し、このメッセージを表現したテレビCMを4月から放映している。
磯﨑氏はその狙いについて、「まずは4万人を超える世界中の三井物産の社員が自分の会社を正しく理解し共有することは、統一感ある対外発信の基盤としてとても重要。社員一人ひとりが“メディア”となり、正確に発信できるようになるためにはインナーコミュニケーションが重要だと思う。今回のブランド・プロジェクトではその点も意識して進めている」と語った。
有限の職場で「どのように一体感をつくるか」
社外に対して効果的な情報発信を行うには、まず企業ブランドに対する社内理解が必要であり、社内報は重要な役割を担う。鹿島建設の社内報『月報KAJIMA』が、1959年の創刊から現在までの56年間、一度も休刊することなく発行されてきたのも、社内でその重要性が認知されてきたからという。同社の建設現場を中心とした事業拠点は世界約2000カ所あるが、その多くはプロジェクトが終了するとなくなってしまう「有限の職場」である。
財部氏は「そうした職場で一体感を醸成し、いかに帰属意識を高めるか。それが当社の社内報の大きな役割のひとつ。社内報の内容はインターネットでも公開しているが、手紙のように毎月一人ひとりの手元に届くことに意味があると考え、紙媒体にこだわって発行している」と語った。
磯﨑氏も三井物産の社内報の役割について次のように述べている。「当社もグローバルな事業展開を行っており、母国語が何かにかかわらず、社員の一体感を醸成するうえで、日本語と英語を併記した社内報『MBK LIFE』は重要な役割を担っている。今回のブランド・プロジェクトについても社内報できめ細かく発信している」。
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