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アジア太平洋エフィー賞2016、「最も優れたブランド」にP&G アリエール

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アジア太平洋地域で展開されたマーケティング・コミュニケーション活動を、その効果・成果で評価する広告賞「APAC Effie Awards(アジア太平洋エフィー賞)2016」の結果が発表された。
最高賞のグランドエフィー以下、ゴールド12点、シルバー21点、ブロンズ32点の計66点が受賞した。ここではグランドエフィーと、ゴールド受賞作の中から4点を紹介する。

家事は女性の仕事? インドのジェンダー問題に挑む
P&G アリエール「Share The Load」(インド)

 

ニールセン・インドが最近実施した調査によると、インドの男性の実に76%が「洗濯は女性の仕事」だと考えており、68%が洗濯のあいだ自分はテレビを見ていると回答したという。
最高賞のグランドエフィーと、「GoodWorks – Brand」「Brand Revitalisation」の2カテゴリーでゴールドを受賞したのは、女性の社会進出が進むインドで、P&Gの粉末洗剤ブランド「アリエール」が実施したキャンペーン「Share The Load」。ジェンダー問題の啓発を目的としたもので、「女性の家事の負担を、男性も共有しよう」というメッセージを発信している。

2015年にスタートした同キャンペーンの広告第2弾のムービーは、“働く女性”を娘に持つ男性の目線から描かれている。仕事から帰ってきた娘が、何やら急を要しそうな電話に対応しながら、食事の準備に部屋の片付け、子どもの世話とあらゆる家事を慌ただしくこなしていく。一方で彼女の夫はというと、テレビを見ながらPCをいじっている。娘はそんな夫を責めるでもなく、電話片手にコーヒーを差し出す。

この様子を見て、父親は娘の夫を責めるのではなく、自らのこれまでの行いを省みる。自分も妻(娘の母親)に同じことをしていたのではないか。そして、夫の父親もまた同様のことをしてきたのではないか–。

帰る前に、娘の家に残した手紙には「あなたの夫に代わって謝ります。申し訳ない。すべての父親に代わって謝罪します。申し訳ない」という、彼の謝罪の気持ちが綴られていた。そして父親は、あることを決意する。自宅に戻った彼は、自分の洗濯物を妻任せにせず、自分で洗うことにしたのである。

この動画は、カンヌライオンズ2015において、性差別や偏見を打ち破る広告表現を顕彰する特別部門「Glass Lion」も受賞している。担当エージェンシーはBBDO India。

第1弾 広告の「#IsLaundryOnlyAWomansJob?」

 

ちなみに第1弾の広告は、2人の女性が登場。忙しく働く娘を見ながら、女性が活躍できる時代になったことを喜び合っていた矢先、娘の夫が「おい!なんで僕の緑のシャツを洗っておいてくれなかったんだ!」と叫ぶのを聞いて、唖然とする…というストーリーだ。

チョコレートのおいしさを科学的に証明
Mars Food China Dove Chocolate「Dove Silk Smooth ASMR」(中国)

チョコレートを食べると幸せな気持ちになれる–誰もが感覚的に知っていることだが、果たして真相は?

チョコレートブランドのDoveは、中国の科学ソーシャルネットワークサイト「Guokr」と提携し、女優のアンジェラベイビーらを起用した動画を制作。Doveのなめらかな舌触りを目や耳で楽しめる内容となっており、これが視聴者に「Autonomous Sensory Meridian Response:ASMR(人が聴覚や視覚への刺激によって感じる、心地良い反応・感覚)」をもたらすことができるのか科学的に解明した。担当エージェンシーはBBDO Beijing。

手頃で手軽な格安航空会社の魅力をユーモラスに訴求
タイガーエア「Infrequent Flyers Club」(オーストラリア)

 

7割以上の人が「航空会社を利用するのは年3回未満」であるというオーストラリア。そこで、格安航空会社・タイガーエアがつくったのが、多くの航空会社が実施している「Frequent Flyer Program(マイレージサービス)」に対抗した「Infrequent Flyer Program」。ペラペラの紙を自分で切り抜いてつくる会員カード、同じく紙でつくれるラゲージタグ、機内食を自分でつくれるレシピブックといった、“くだらない”会員特典を多数用意。LCCならではの手軽さをユーモアたっぷりに訴求する。担当エージェンシーはMcCann Melbourne。

自分の身体に触れるきっかけをつくる
New Zealand Breast Cancer Foundation、Skinfood「A Cream that Gives You Wrinkles」(ニュージーランド)

 

乳がんの早期発見・治療を啓発する活動を行うNZ Breast Cancer Foundationが、コスメブランドのSkin Foodと共同でバスト専用の美容クリーム「BREAST CREAM」を開発。そのポスターには、穏やかに微笑む年輩女性の写真とともに、「Finally, A Cream That Gives You Wrinkles.(あなたにシワをつくるクリームです)」とのコピーが。クリームを使って乳がんのセルフチェックをすることで、長く、美しく生きましょうとメッセージを発信する。担当エージェンシーはColenso BBDO、Proximity。

国歌の歌詞を、わかりやすい英語で紹介
アンカシャ財団「A for Anthem」

 

経済的に貧しい子どもたちに質の高い教育を提供する非営利組織「アンカシャ財団」が制作した動画。「あなたは、私たちの国の10人中9人が、国歌の意味を知らないことを知っていますか?」という問いかけから始まる動画では、子どもたちがシンプルな英語で国歌の歌詞の意味を説明してくれる。インドの古語で構成される国歌は非常に意味をとりづらいが、簡単な英語さえ身につければ、その意味を知ることができる。子どもたちへの教育の重要性を訴求した。担当エージェンシーはOgilvy and Mather India。

その他、ゴールドを受賞した作品は以下のとおり。

◆フォンテラ(牛乳・乳製品メーカー)「Must Be Milk」 (Colenso BBDO+Proximity/ニュージーランド)

複数展開されているCMの一つ。

 

◆バンクオブニュージーランド「$HRED」(Colenso BBDO+Proximity/ニュージーランド)

◆ランドローバー・ニュージーランド「Love from Land Rover」(Y&R New Zealand/ニュージーランド)

 

◆Clues Network「David vs Goliath」(Enormous/インド)

◆Rhino Rescue Project(野生のサイの保護プロジェクト)「Devalue Rhino Horn」(Ogilvy & Mather Viet Nam/ベトナム)

◆Boundary Road Brewery(ビールメーカー)「The People’s Beer」(Barnes, Catmur & Friends Dentsu/ニュージーランド)

今年新設された「マーケター・オブ・ザ・イヤー」と「ブランド・オブ・ザ・イヤー」には、P&G、そして同社ブランドのアリエールが選ばれたほか、「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」はのべ8つの作品で受賞を果たしたMullenLowe Lintas Group(インド)が、「エージェンシーネットワーク・イブ・ザ・イヤー」はのべ17の作品で受賞したBBDO Worldwideがそれぞれ受賞した。新設された2つのアワードは、クライアントとエージェンシーとが密に連携・協働して効果的な施策を実現させたことを表彰するもの。