今年4月にデジタルマーケティング部を新設したKDDI。その新部門を率いるのが、塚本陽一氏だ。デジタルからマス広告まで幅広いマーケティング実務経験を持つ同氏は今、KDDIのデジタルシフトにどのように挑もうと考えているのか。
高速でPDCAを回し学習能力の高い組織を目指す
加藤
KDDIさんは4月に塚本さんが部長を務める、デジタルマーケティング部を新設され、一つの部門のもとデジタル関連のコミュニケーションを統合的に行っていく方針を打ち出していらっしゃいますね。
塚本
部署が新設された目的の一つに、社内に分散していたデジタル関連の機能を統合することがあります。具体的にはペイド、アーンド、オウンドとデジタル関連のすべてのマーケティング機能を集約しました。デジタルマーケティングは、どれだけ高速でPDCAを回していけるかが勝負ですが、縦割りの組織だとPDCAがうまく回らないところがある。新組織では、この課題が解決されつつあると感じています。
加藤
「連携」ではなく「統合」したところに、本気でデジタルに取り組み、成果をあげていくという勢いを感じます。

塚本
当社に限らず、日本企業のマーケティングは4Pの中でも「プロモーション」に特化する傾向にあったのではないでしょうか。特にマス広告は効果の可視化が難しいこともあり、何を持ってビジネスに貢献しているのか、不透明という課題がありました。
デジタルの部門はデータが比較的、取りやすいという特性があるため、データを基に検証し、高速でPDCAを回して、ビジネスの成果につながるマーケティング活動を実行できる組織にしていければと考えています。今の時代においてはPDCAを高速で回し、素早く学習できることが強い組織づくりの条件と言えるのではないでしょうか。