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渋谷という街からローカルとグローバルを結ぶBunkamura

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【前回記事】「エンターテインメントが提供する一期一会の影響力とその未来形。」はこちら

広告とコンテンツ、その両方を理解するのに最良の書。『広告0円 スマホを電話だと思う人は読まないでください。』(吉良俊彦・著)が、4月より全国の有力書店・オンライン書店で販売されています。本書では、マスメディアや新しく台頭してきたメディア、さらにそれらを取り巻く広告やコンテンツ、エンターテインメントの未来のあり方を詳しく解説しています。
 
本コラムでは、宣伝会議 取締役 メディア・情報統括の田中里沙がインタビュアーとなり、それらの領域で最先端を行くビジネスパーソンが、今の世の中をどうとらえているのか、未来はどうなると考えているのかなどを『広告0円』著者の吉良俊彦氏とゲストから引き出します!
 
今回の特別ゲストは東急文化村・代表取締役社長の西村友伸さんです。

田中:今日はお時間をいただき、ありがとうございます。私はBunkamuraができた頃からドゥマゴパリ(カフェ)で友人とお茶を、劇場では演劇やバレエ鑑賞を楽しんできましたので、とても身近な存在なんです。現在のBunkamuraのお客様層はどんな世代の方が多いのでしょうか。

西村: 7割から8割が女性のお客様です。30代から60代の人が7割強、特に40、50代が多い。

東急文化村 代表取締役社長 西村友伸氏

吉良:まさに、“いいもの”を知っている世代、ということですね。

西村:ええ、友人同士や母娘で一緒にお越しになられます。男性の割合が増えるのは、オーケストラの演奏会がある時です。バレエやミュージカル、お芝居がある日は圧倒的に女性が多いです。

相対的に高まるライブ空間の価値

吉良:いまの世の中のトレンドや生活者の志向性で、気になっている部分はありますか。

西村:個人的に「デジタル化」は気になっています。デジタル化によって、直接会話する機会が減ってしまったのではないでしょうか。たとえば、駅の自動改札です。昔は駅員さんが切符にハサミを入れていました。その時に会話も生まれていたんです。それが今では、駅員さんに話しかけると、クレームだと思って身構えられてしまうこともあります。以前は切符を切る時の会話がきっかけで、駅員さんとお客様が結婚するようなケースもあったりしたものですが。

吉良:昔はそういった恋愛も多かったですね。今は会話の余地がありませんからね。

田中:主なコミュニケーションが「直接の会話」ではなくなってきたということですね。LINEを使い、音楽や本もダウンロードする時代ですから。そうすると、Bunkamuraというライブを主体的にした存在は相対的に価値が上がります。ライブは一度きりで、二度と同じものは無い。その時々で出演者の演じ方が変わったり、お客様からの反応を受けて、表現に磨きがかかることもあるでしょう。このような双方向のコミュニケーションが、Bunkamuraの魅力だと思います。

『広告0円』著者 吉良俊彦氏

吉良:デジタル化が進めば進むほど、face to faceのコミュニケーションの価値が高まります。このところ鉄道会社に比べ、航空会社の評価が高くなっていますが、これはデジタルで予約をして、そのあと顔を合わせる機会が少なくとも離陸前に1回、機内に乗ったら今度は客室乗務員とコミュニケートする機会がある。この人間的なコミュニケーションの有無が関係していると思います。鉄道会社がその人間関係を完全に無くしてしまったのは、将来的に、もしかしたら大きなロスなのではないかと思います。

次ページ 「海外進出から一転、渋谷の再開発へ」へ続く