チョコレート工場をオフィスに
「現代広告の父」とも言われるデイヴィッド・オグルヴィが1948年に創設したオグルヴィ&メイザーは世界126カ国・地域に500以上の拠点を持つ広告会社。北米のアメリカ・カナダで17都市にオフィスを構える。WPPグループに属し、2015年の売上総利益は世界6位。デイヴィッド・オグルヴィが残した言葉“We sell or else.”(我々は売る。そうでなければ存在する意味がない)にもある通り、「売る」ことによるクライアントのビジネス目標達成の支援を明確に打ち出していることは同社の個性といえる。
訪れたニューヨークの北米本社はもともとチョコレート工場だったことから、今も親しみを込めて「The Chocolate Factory」と呼ばれる。オフィスには従業員が利用できるジムや床屋まで完備している。主に「広告」「エンゲージメントマーケティング」「PR」「メディア」「アクティベーション」「プロダクション」の各機能に分かれる。「デジタル」については専門機能を置かず、上記のすべてに関わっているという。
チームを活性化させるにはクライアントから
ケーススタディでは、音楽認識アプリ「Shazam(シャザム)」を活用して手持ちのスマートフォンでコーラが「飲める」コカ・コーラゼロのキャンペーンや、若い世代に向けてIBMに親近感を持ってもらう目的で、Tumblr(タンブラー)を活用した取り組みなどを紹介した。
ECDのマイク・ハーン氏とライアン・ブランク氏は、「以前ならテレビと雑誌でブランドと消費者を結びつけることができたが、今はデジタルを踏まえたあらゆる手法の組み合わせで『体験』を提供しなければならない」と環境変化への対応について述べた。ほかにも発泡性ミネラルウォーター「サンペレグリノ」や炭酸飲料「ファンタ」の事例を紹介した。
大手クライアントの仕事を数多くこなすオグルヴィ。特にIBMとは長期にわたる関係を構築している。その秘訣を聞くと、「ユニークな仕事をし続けること。そして結果を出すこと。さもなければ、3~4年で他のエージェンシーに取って代わられてしまう」という。長い間チームの士気を保つにはどうしたらよいかとの質問には、「クライアントに野心があれば、我々のチームも活性化する。チームをモチベートしたければ、クライアントをモチベートするのが近道でしょう」と指摘した。
チーム内に多様な人材を起用することの必要性を強調した。「例えば、男女比やアメリカ人と非アメリカ人の比率を半々近くにすること。ストーリーテラーやテクノロジストなど、様々な得意分野を持つ人を入れ、あえて『ごちゃまぜ』にした方がチームが活性化し、優れたアイデアが生まれるものです」(エグゼクティブ・グループ・ディレクターのカート・ルンドバーグ氏)。
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