アウディとNTTデータが脳科学を使って、広告クリエイティブの質の定量化に成功

消費者の行動や心理を脳科学で分析する「ニューロマーケティング」。NTTデータでは2016年6月から、ニューロマーケティングのツールとして広告評価ソリューション「NeM sweets DONUTs(以下:DONUTs・ドーナッツ)」を提供している。アウディジャパンでは、この「DONUTs」を活用してテレビCMの効果を測定し、クリエイティブの改善につなげた。そこで、アウディジャパンの後藤晋哉氏とNTTデータ 矢野亮氏と茨木拓也氏に狙いから効果について聞いた。

アウディジャパン マーケティング本部 リサーチプロジェクトリーダー 後藤晋哉氏(中央)、NTTデータ テレコム・ユーティリティ事業本部 ビジネス企画室 課長 ニューロビジネスチームリーダー 矢野亮氏(右)、NTTデータ経営研究所 情報未来研究センター ニューロイノベーションユニット マネージャー茨木拓也氏(左)。

アウディが脳科学を取り入れた理由

—アウディジャパンがマーケティング活動に「脳科学」を導入した背景から教えていただけますか。

アウディジャパン マーケティング本部 リサーチプロジェクトリーダー 後藤晋哉氏

後藤:

従来の調査への限界を感じていたことが大きいですね。たとえば我々は、シングルソースパネルを用いて、当社のテレビCMに接触した人のログデータを収集しています。あるとき、この動きと並行して自記入式調査で「あなたはこのテレビCMを見ましたか?」と聞きました。

すると、ログデータを見ると「接触している」にも関わらず、自記入式調査では「接触していない」と回答する人が多数出てきたのです。そもそも自記入式はバイアスがかかるものですし、このような状況では調査結果への信頼性に疑いが生じてしまいます。

そんなときに、視聴者の反応をバイアスがかからずに調査できる方法があると聞いて、まずは試してみようと思いました。

—どのような調査をしたのでしょうか。後藤:

NTTデータの「DONUTs」を使って、テレビCMを見ている人の脳の状態を調べてもらい、我々が伝えたかったメッセージがきちんと伝わっているのか分析しました。

NTTデータ経営研究所 情報未来研究センター ニューロイノベーションユニット マネージャー茨木拓也氏

茨木:

「DONUTs」は、テレビCMなどの動画広告を見ている人の脳活動を「機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)」という手法を使って計測し、その脳活動パターンから視聴者の知覚内容を解読します。

たとえば、男性の走っているシーンに対して「かっこいい」と、どの程度知覚されたか、脳活動から推定します。これらの技術はNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)・CiNet(脳情報通信融合研究センター)と共同で研究開発・応用を進めています。

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