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「コト消費」では説明できない。博報堂生活総研が新たに提案する「トキ消費」とは?

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時代の変化に対応し、変革を続ける広告業界。革新への熱狂と専門知識を武器に、従来の広告の枠を超えて、仕事に取り組む人がいます。そんな広告の世界を拡張させる博報堂社員の仕事術と本音に迫る「熱熱トーク」。第5回は、「コト消費」の次として「トキ消費」を提唱する、博報堂生活総合研究所の酒井崇匡さんと中島健登さんです。「トキ消費」とは何か、そして企業はどうマーケティング活動に取り入れるべきか、聞きました。

博報堂生活総合研究所 生活発見グループ 上席研究員 酒井崇匡さん(右)、生活表現グループ 研究員 中島健登さん(左)。

「トキ消費」の持つ3つの特徴とは?

—近年、生活者の消費活動が“モノからコトへ”と変化してきたと言われています。現在の状況をどのように捉えていますか?

酒井:1980年代後半から90年代にかけて、生活者の消費行動の目的が“所有”から“体験”へと変化し、その流れの中で「コト消費」が注目されるようになりました。多くの生活者が物質的な豊かさを享受できるようになり、その次に心の豊かさを求めるようになったのです。

しかし最近、この「コト消費」という言葉だけでは説明できない事象が起きていると感じています。それに気付いたのは、2年に1度実施する生活者への定点調査「生活定点」における調査でした。

私たちは20年間以上にわたって生活者の意識の変遷を調査しています。最新調査で、現代を表現するコピーとして、当所の中島が名付けたのが「常温社会」です。これは日本経済が大きくドライブしていかない中で、良くも悪くも生活レベルが向上しない“普通”の状態が長く続くという生活者の意識を表現しています。

そんな状況下で、何が消費を刺激し、そして経済をドライブさせていくのかを探っていくときに、浮かび上がってきたのが「トキ消費」だったのです。

—「トキ消費」とは、具体的にどのような消費行動を指すのでしょうか?

酒井:例えば、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の活躍が挙げられます。彼女たちは武道館での単独ライブや「NHK 紅白歌合戦」に出演するという目標を掲げて、ファンと一緒に成長していく姿勢を打ち出して、徐々に人気を獲得するようになりました。まさに同じ“トキ”を共有しようという姿が共感を得たのです。

博報堂生活総合研究所 生活発見グループ 上席研究員 酒井崇匡さん

中島:同じように、宮崎駿監督の映画「天空の城ラピュタ」のテレビ放映時に、タイミングを合わせてTwitter上に「バルス!」と投稿して一緒に盛り上がる“祭り”も当てはまるでしょう。

その他にも、ハロウィンに仮装して渋谷のスクランブル交差点で見知らぬ人とハイタッチを交わす行動、クラウドファンディングで公開に結びつけた映画『この世界の片隅に』も「トキ消費」と言えます。

博報堂生活総合研究所 生活表現グループ 研究員 中島健登さん

—「トキ消費」とは、具体的にどのような特性をもっているのでしょうか。

酒井:「トキ消費」には、以下の3つの特徴があります。

これらは「コト消費」から1歩進んだ、生活者のニーズと言えます。

近年、今この瞬間しか実現できない“祭り”をみんなと一緒に盛り上げたいという欲求が原動力となったムーブメントが多く起こっているのです。

—企業のマーケティングや広告プロモーション活動に、どのように取り入れることができますか。