広告投資のデジタルシフトは進んできたが、それに伴いマスとデジタルの予算配分に頭を悩ませる企業は増えている。
今回はジョンソン・エンド・ジョンソンと日産自動車という商材の異なるメーカーの2名に、その意思決定の判断基軸を聞いた。
今回はジョンソン・エンド・ジョンソンと日産自動車という商材の異なるメーカーの2名に、その意思決定の判断基軸を聞いた。
※月刊『宣伝会議』1月号(12月1日発売)では「広告とPR、デジタルとアナログ、ブランドと販促…。 マーケティング活動 投資配分の最適化」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。
日産自動車
日本マーケティング本部 副本部長
堤 雅夫氏
ジョンソン・エンド・ジョンソン
コンシューマー カンパニー
マーケティング本部 DMX シニアマネージャー
趙 恩淳氏
消費者が求めるものはタッチポイントごとに異なる
—生活者のメディア接触行動が変化するなか、広告主はどのようにメディアプランを考えるべきでしょうか。趙:
正直なところ、時代の変化はあってもマーケティング活動で実現すべき本質は変わっていないと思います。ただ、様々なタッチポイントが増え、同じメッセージを流してもメディアによって消費者の反応が異なってきているため、効率的なメディアプランニングだけでなく、効果的に消費者にアプローチするためのタッチポイント別の活用方法を考えなければならない状況が生まれています。
では、広告メディアを始めとするタッチポイントごとに、ユーザーの反応の差が大きくなっているのは、なぜなのか。それは、接触している際の「ユーザーの状況」の違いが起因しています。たとえば、YouTubeでMVを見る人は、音楽を聴きながら「流し見」しているかもしれない。SNSでハッシュタグ検索をしている人は能動的に情報を収集しているかもしれない。タッチポイントごと、さらには消費者のその時々の状況に応じて求めるものが全く違うんですね。
そこで今、私たちが一番気を付けているのは、伝えたいメッセージはひとつであっても、タッチポイントごとに最も効果の出る表現方法を考えることです。
堤:
その課題感は、日産もほぼ同じですね。当社はかなり早くからデジタルへの投資に積極的に取り組んでいて、最近でもおよそ4割の予算をデジタルに割いています。