人生100年時代が到来しようとしているなか、定年退職後の人生設計を見据えた中高年のセカンドキャリア支援に、企業も力を入れようとしています。そのセカンドキャリアの選択肢として、経験豊富な企業人を大学で教授・准教授などの教員として迎え入れる「実務家教員」が注目を集めています。
人生100年時代に求められる中高年のセカンドキャリア支援
セカンドキャリアについて
セカンドキャリアとは、スポーツ選手が引退した後のキャリアを指して使われることが多い言葉ですが、育児を終えた後のキャリア、定年退職の後のキャリアなど、第2の人生における職業のことを指します。そのなかでも、35歳から45歳くらいまでのセカンドキャリア支援に注目が集まっています。
それは、寿命が伸びたことにより、働き方が変わることが予想されるからです。リンダ・グラットン著の『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』によると、「現在50歳未満の日本人は、日本人の平均寿命が100歳を超える時代を過ごす可能性が高い」といいます。仮に60歳で定年退職した場合、残りの40年以上の人生をどのように過ごすか。そして40年以上過ごせる蓄えがあるのか。リタイア後の人生設計が課題になります。そのため、70代・80代でも働き続けるという選択肢が現実的になってきます。定年退職直前に新天地を見つけ出すのは困難を極めるため、35歳から45歳くらいの年代からセカンドキャリアを見据えて準備していくことが重要になります。
企業のセカンドキャリアの取り組み
そのような人生100年時代・生涯現役時代に向けて、企業も30代・40代のセカンドキャリア支援に本格的に力を入れ始めています。入社から60歳以降を含めた生涯のキャリア形成を支援している企業。40歳半ばからキャリアの見直しや将来のライフプラン設計を研修に組み込んでいる企業。セカンドキャリアについていつでも相談できるように、キャリアコンサルタントの国家資格を持つスタッフを人事部内に配置している企業。マネープランを通して人生設計を考える研修を実施している企業。人事部が転職先を紹介するシステムを整えている企業。大手企業を中心に、試行錯誤しながらさまざまセカンドキャリア支援に取り組んでいます。