購買データの充実で広告効果の可視化がさらに進む

リテールテック企業のフェズでメーカーや小売のデータ活用支援に取り組む安藤尚人氏は、購買時点のデータは今後、企業のマーケティング投資の判断に重要な指標になると指摘する。成果を出すために、他部署との積極的な連携も重要だという。

小売のマーケティングにおいてデータ活用が進んだ背景には、ネットの普及に伴う消費者行動の変容が欠かせません。具体的には、ひとつは店舗で購入していたものをネットで購入するようになったこと。そして「消費者=マス広告の受信者」だった時代から、消費者が能動的に情報を取得し、自らも口コミ投稿などを通じて発信側になれる時代に変わったことがあります。消費者の選択権の増大ともいえるこうした流れをいち早く察知した小売事業者が、メーカーとともにマーケティング手法を見直す中で、様々なデータの活用がここ数年で大きく進展しました。

データを集める目的を明確に

「自社が持つデータには価値があるらしい」と感じるマーケティング担当者が増える一方で、活用方法が分からずに困っている方も多くいます。私は日々小売やメーカーのパートナーとしてデータ活用の基盤づくりやコンサルティングに携わっていますが、「データを集めたが、そこから先の活用方法が分からない」という相談を頻繁に受けます。

ひとつ確実にいえるのは、データ活用を行う際は、最初にデータ活用の目的をしっかりと定義し、そこから逆算してデータ基盤の構築や具体活用方法の設計に落とし込んでいくことです。また売上を伸ばすことをゴールと設定しても、具体的に顧客数を増やしたいのか、単価を上げたいのか、使用頻度を伸ばしたいのか、それによってデータ分析のアプローチも変わります。分析スキルも必要ですが、明確な目的設定の上でデータを精査してこそ「何が使えて、何が使えないか」を判別する力もついてきます。

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