必要なのは「曖昧力」?ギフティがCCOを設けた理由

eギフトのプラットフォーム事業を展開するギフティは、2019年12月、CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)のポジションを新設した。着任したのは、元Wieden+Kennedy TokyoECDの長谷川踏太さん。長谷川さんがギフティに、またギフティが長谷川さんに期待するものは何だろうか。(本記事は月刊『ブレーン』8月号の特集、「事業成長に貢献する スタートアップ企業のクリエイティブ活用」に掲載したものです)。
(左から)ギフティ 代表取締役 太田睦さん、同 CCO 長谷川踏太さん。

「同じ顔で話している感じがしなかった」

2010年8月に代表取締役 太田睦さんが創業したギフティ。eギフトの生成から流通まで一貫して提供するギフト事業を中心に、地域活性化のためのプラットフォーム「Welcome! STAMP」や、顧客のロイヤリティを高めるサービス「giftee Loyalty Platform」などと事業を拡大してきた。2019年9月には、東証マザーズに上場。そのすぐ後の12月、CCOに長谷川踏太さんが着任した。その背景を太田さんはこう話す。

「長いことマネジメントレベルからデザインのできる人を探していました。というのも、僕を含む4 人のボードメンバーには、デザインにルーツを持つ者がいないんです。それゆえ経営としては成立していても、自社のプロダクトやサービスが同じ顔で話している感じがしない。つまり、すべてのメッセージやブランドの人格に一貫性がないというのが課題でした」。もちろん、それまでも同社にはデザイナーが在籍していた。ただCtoC 向けの販売サービス「giftee」の運営に必要なデザインの側面が大きく、企業全体のクリエイティブを統括するポジションは不在だったという。

社内のデザイナーを育てるか、外部のコンサルティング会社に頼むか。さまざま考えを巡らせていた2019年9月、長谷川さんがnote に投稿した「W+K 東京を退職しました。」という記事が太田さんの目に留まった。長谷川さんは、ソニー、イギリスのクリエイティブ集団「TOMATO」、そしてWieden+Kennedy Tokyoのエグゼクティブ・クリエイティブディレクターと、クライアントや広告会社などさまざまな立場を渡り歩いてきた経歴を持つ。すぐに長谷川さんに連絡をしたという。当時を長谷川さんはこう振り返る。

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