競合が始めていることや、SNSで人気となっている企業の事例を聞いて、「うちでもSNSをやってみよう」「若いメンバーにとりあえずやらせてみよう」と気軽に導入するケースが見られます。しかし、いざ取り組んでみると「『いいね』がつかない」「担当は自分だけで、投稿も行き当たりばったり」と、大変さを感じることも多いと聞きます。
このコラムでは、SNSの運用をこれから始めようと思っている方、また既に取り組んではいるものの思うような成果が出ない方のために、各SNSの特性や情報発信の勘所、そして社内体制の築き方までを、宣伝会議の「SNS運用担当者養成講座」で講師を務める本門 功一郎氏がアドタイでの出張講義として、全3回にわたってレクチャーしていきます。
そもそもSNSって、なぜ企業で運用しなければならないのでしょうか。
実は、この問いへの理解が、その後の運用を決定づけるため、非常に重要です。利用者数の増加にともなって、企業のSNS運用の事例も増えてきました。運用を開始した理由は「他社がやり始めたから」「SNSだと新たな層にアプローチできるから」などさまざまです。
しかし同時に、読者の中には、さまざまな事例を参考に自社でも取り組んでみたものの、再現が難しく、想定していたような成果を得られないという方もいることでしょう。
そもそもSNSは個人間のやりとりの中に、企業が入って自社のプロモーションをしようとする訳ですから、一般に実施しているプロモーション手法とは、全く異なる考え方が必要となるはずです。
さらにSNS運用で難しいのは、成果の出ない状況をどう突破すれば良いのか、企業内部に聞ける相手がほとんどいないことです。すると運用担当者は孤独になり、そのループから抜け出せなくなってしまいます。そして日々の投稿は単調なものになるでしょう。例えば「今日は天気が悪いですけど、頑張っていきましょう。●●では今、■■が30%オフ!」のような投稿が続き、ターゲットに刺さるどころか、見向きもされなくなってしまいます。