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パーパスドリブンなアプローチの重要度
松本
:2020年のPRアワードを振り返っていきたいと思います。コロナ禍での開催となった昨年の審査基準として改めて設定されたのは「ニューノーマルへの挑戦」「『ステークホルダー』の戦略的設定」「『パーパスドリブン』なコミュニケーションアプローチ」の3点でした。そして審査の結果、非常に珍しいダブルグランプリとなりました。ひとつは井之上パブリックリレーションズさんの、まさにPR会社ならではの「『新型コロナウイルスに関する危機管理広報初動マニュアル』無償提供でコロナ禍での本質的PR発想を最短最速で日本中に提供」、もうひとつはダイキン工業さんの「“上手な換気の方法”を伝えたい!『空気で答えを出す会社』の底力」でした。
井之上パブリックリレーションズ
「新型コロナウイルスに関する危機管理広報初動マニュアル」(表紙)。
田上
:私も最終的にグランプリを獲った2つのプロジェクトは突出したものとして記憶に深く残りました。いずれのプロジェクトもコロナ禍のなかで、果敢に本業の真ん中の部分で、従業員の皆さんに「うちが今やらなくてどうする!」という意思があってこそ生まれたプロジェクトなのだろうとエントリーシートの内容から感じられました。パーパスは会社の経営理念そのものなので、一朝一夕では社員に浸透しませんよね。この2社は広報部だけではなくて、社内横断的にパーパスが浸透していると感じられる取り組みでした。
特にダイキン工業さんに関しては、エントリーシートの段階では私個人は最高点を付けなかったんです。プレゼンテーションをうかがう中で、実は換気が出来るエアコンはほぼダイキン工業さんしかないという事実を聞いて、それをエントリシートに書いてくれていたら最初から高い点を付けただろうなと思ったんですよ。
松本
:ダイキン工業さんは2017年から「空気で答えを出す会社」という企業ブランディングに取り組まれていて、コロナ禍において、今こそ自分たちが正しい換気の仕方を発信しないでどうするんだとすぐに動かれた。
太田
:「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」のPR部門では、すみだ水族館の「チンアナゴ顔見せ祭り」(水族館の休館によってチンアナゴが人間の姿を忘れかけているのを受けて、FaceTimeを通じて自宅からチンアナゴたちに顔見せをしてもらうという企画)が議論を巻き起こしていた、という話を聞いていたので、PRアワードではこれらのエントリーがグランプリだと聞いて、思わず「渋っ!」と言っちゃいました(笑)。


