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「ZOZOらしさ」体現するイラストを挿入した決算資料 ZOZOが提唱する“ソウゾウのナナメウエ”とは

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*本記事は10月1日発売の『広報会議』11月号の転載記事です。

ZOZOは2019年以降、決算説明会資料に斬新なデザインを用いて、「ZOZOらしさ」を打ち出してきた。昨今、様々な企業が自社の“らしさ”を発信するために、サイトやプレスリリースに工夫を凝らす中、ZOZOのその独自性は頭ひとつ抜けている印象。決算説明会資料の制作背景から、施策の起点となった同社のアイデンティティについても話を聞いた。

ZOZOでは13年程前から、決算説明会の資料づくりに社内デザイナーを起用。同社では、社内外のあらゆるデザインに社内デザイナーが関わっている。それは同社の想いやカルチャーを表現するためだという。

中でも、前澤友作氏が代表を辞した2019年は重要な節目だった。そう話すのはZOZOテクノロジーズ コーポレートデザイン本部 コーポレートデザイン部の森住和雅氏だ。「丁度原点回帰を打ち出したタイミングで、代表が澤田に変わり、そこで澤田が次のコンセプトにしたのが“社員が主役”。ファッション好きの社員全員が主役ということで、社員のイラストを使ったデザインにしました」。

2020年の資料には社員のリアルなイラストを。そして、2021年7月29日公開の最新の決算資料の冒頭に登場したのが、森住氏お手製の漫画だ。これは、同社の新代表・澤田宏太郎氏を彷彿とさせるキャラクター「栗太郎」が登場する、ZOZOでの日常を描いたストーリーだ。

2020年は見た目がZOZOにも見える、とのことから「ZOZOYEAR」とし、社員を写実的に模写したイラストを資料に盛り込んだ。

社員がモデル、日常を描く漫画

資料の合間にサラッと挿入されたようにも見える、4篇の漫画。だが、その制作には実に多くの時間が割かれている。「会社として打ち出したい内容は毎年変わるもの。ですから、決算説明会の資料のデザインも毎年一から考えています」。プロセスとして、まずはメンバー内でのブレストの後、ラフ案を数種類制作し、細かく議論を重ねていく。「5月中旬から週1回の頻度でブレストを行い、6月の中旬に、今回は漫画を盛り込む、という案が出てきました」。漫画を挿入する、となれば内容の議論に。コマ割りの数やストーリー、絵のタッチ含め、10以上の案が出された末に本作に決定した。「7月頭から公開までの丸1カ月は、“本気で”漫画の制作に打ち込みました」。

公開後にはSNS上などで「想像のナナメウエを行っている」など、決算資料を見た方から反響があったという。 

このマンガは、社内の日常をネタにしているのが特徴だ。「キャラクターにはそれぞれモデルがいて、社内の人が見たら『あの人じゃないか?』と。フランクな日常を描きたかったので、なるべく上下関係のない素の感じが出るよう工夫しました」。

内容に関し、産みの苦しみはなかったのか。「ストーリーに関しては、実際の出来事や実在する人物が元ネタのため、苦労はありませんでした。こういう展開ならおそらくこう喋るはず、と自然と想像が膨らみました」。

栗太郎が主人公の漫画。途中、プロの漫画家に描いてもらう案も出たというが、そこは「DIY精神」を標榜する同社の“らしさ”を出すには、内製の方が雰囲気が出るはず、と考えたという(2022年3月期第一四半期決算説明会資料)。

ソウゾウのナナメウエ

決算資料に漫画を取り入れる、その大胆さ。その狙いについて、森住氏は次のように語る。「投資家の皆さんはもちろん、より広い層に『当社はこんな会社です』と伝えたかったのです。難しいグラフや数値だけではなく、そこに至るまでの想いやカルチャーを漫画なら見てもらえるかなと」。

ちなみに、以前から社員同士での会話でも『ZOZOらしい』という言葉がよく使われる程、同社の“らしさ” は浸透していたという。2020年はそれをさらに進めるため、「ソウゾウのナナメウエ」という標語をつくった。「今やありふれた手法である漫画も、堅いイメージのある決算資料に使う企業はあまりないでしょう。今回は使い方の斬新さで、“ソウゾウのナナメウエ”を実践できたのではないでしょうか」。

――『広報会議』2021年11月号では、巻頭特集「企業価値を高める文章作成術 事例集」内にて、本稿のZOZO以外にも、カンロ、帝人、京セラ、ヤマハなどの事例を紹介。また、元日経記者が、リアルな接点が持ちづらい中、メールを使った記者とのリレーションの築き方を解説している他、危機管理広報コンサルタントが誤情報・デマ流出の際の拡散抑止のための広報コメントの書き方を解説しています。
 

広報会議2021年11月号

【特集】
リリース・危機対応・ESG報告……
企業価値を高める 文章作成事例集
 
GUIDE
「記者」と交わすメール、喜ばれる文章とは
松林 薫(ジャーナリスト 社会情報大学院大学 客員教授)
 
GUIDE
不祥事が勃発! 謝罪文に必要な7つのポイント
浅見隆行(弁護士)
 
GUIDE
「誤情報」拡散を抑止する広報コメント
山口明雄(危機管理広報コンサルタント)
 
COLUMN
ジェンダー関連、誤解なく伝える心構え
ニシブマリエ(ライター)
 
GUIDE
note、オウンドメディアでの執筆アイデア
三宅香帆(書評家、作家)
 
CASE1 柳田織物
コロナ禍でも会社救ったオウンドメディア
 
CASE2 カンロ
「サステナブル経営」の実践と見通し語るレポート
 
CASE3 帝人
「アーカイブ」機能担う100号超えたニュースレター
 
COLUMN
ZOZO、京セラ
漫画ならではの表現で自社の”らしさ”を発信
 
GUIDE
ニュースリリース見出しのノウハウ
田代 順(マテリアルグループ PRトレーナー)
 
ポストコロナの戦略広報
「リリース」のテーマ一覧
井上岳久(PRコンサルタント)
 
実践! プレスリリース道場
ヤマハ
 
【東京2020パートナー企業に聞くこれからのコミュニケーション戦略】
東武トップツアーズ/東京海上日動火災保険
イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン
みずほフィナンシャルグループ/エアウィーブ
アシックス/東京ガス/ヤマトホールディングス
みずほフィナンシャルグループ/ヤマトホールディングス
 
【コーポレートブランディングカンファレンス】
CASE STUDY
凸版印刷/ミルボン
REPORT
JX通信社/プラップノード/ビルコム
 
【PR JOURNAL】
広報担当者のための企画書のつくり方入門
非営利組織との「パートナーシップ広報」
企画書の書き方 ポイントは
片岡英彦
 
オフィスの今と未来を考える
阿部智和(北海道大学 准教授)
 
職場の多様性と経営倫理
谷俊子(関東学院大学 経済経営研究所)
 
スポンサーシップ未来予想図
山口志郎(流通科学大学 准教授)
 
広報のための行動インサイト
山田 歩(滋賀県立大学 准教授)
 
広報メディア温故知新
飯田 豊(立命館大学 准教授)
 
【記者の本音からリリース術までMEDIA TOPICS】
元ディレクターが直接取材
テレビ番組制作者の本音
『サラメシ』
下矢一良(PRコンサルタント)
 
メディアの現場から
・ハースト婦人画報社『美しいキモノ』
・白泉社『kodomoe』
 
【新たな情報流通とコンテンツDIGITAL TOPICS】
データで見るPR動画の効果
日立建機/東急電鉄/小田原市役所 ほか
 
ウェブリスク24時
自社らしさ伝えるオウンドメディア
鶴野充茂(ビーンスター)
 
【広報担当者が知っておきたいRISK MANAGEMENT】
小説で学ぶクライシス対応
「広報担当者の事件簿」
佐々木政幸(アズソリューションズ)
 
【企業に求められるサステナビリティIR・CSR TOPICS】
担当者が語るIRの現場
カンロ
 
SDGs実践ノート
日本特殊陶業
 
ある日、IR担当者になったら
IRの学校SEASON2
【保存版】新任担当者必携!IR用語集 付き
大森慎一(バンカーズ)
 
【地域を変える発想とは地方創生とPR】
地域メディアの現場から
新潟放送(BSN)『新潟全県民バラエティ 水曜見ナイト』
 
地域活性のプロが指南
田北雅裕(九州大学大学院人間環境学研究院 専任講師)
 
【NEWS&DATA】
広報会議 パートナー一覧
 
周年イヤーの迎え方
ファミリーマート
 
大学広報ゼミナール
追手門学院大学
 
広報最前線
・経済広報センター
・日本広報学会
・日本パブリックリレーションズ協会
 
PRイベントの効果
HOYAアイケアカンパニー/コアラスリープジャパン/マップボックス・ジャパン ほか
 
映画で学ぶ広報術
『いだてん』
野呂エイシロウ(放送作家・PRコンサルタント)
 
BOOKS
 
メディア研究室訪問
東洋大学 薗部靖史ゼミ
 
【TOPICS】
データで読み解く企業ブランディング
企業広報戦略研究所
 
社会情報大学院大学
理念と行動を社会と共有し、
組織を導く広報・情報人材(修士)を育成