町民が住み続けたくなる町をつくる
MARGALETTE HOWELLやJILLSTUARTなど60のアパレルブランドを運営するTSIホールディングス(以下、TSI)は10月29日、北海道上川町(以下、上川町)と「持続可能な地域づくりを目指す包括連携協定」を締結した。
本協定は、TSIがもつブランド開発ノウハウと上川町の豊富な地域資源を融合させることで、地域起点の新たなライフスタイルやモノづくりを創出し、上川町の持続的な発展を目指していくというもの。上川町の地域経済活性化や関係人口の増加を図っている。
TSIは「世界で最も幸せなファッションカンパニー」をスローガンに、これまでもアパレルをはじめとしたライフスタイルコンテンツの開発、社会課題解決型の新規事業の創出に取り組んできた。上川町とは約3年前から議論を重ね、今回の協定締結に至ったという。
一方の上川町は、日本最大の山岳自然公園「大雪山国立公園」を有す自然豊かな町。国土の半分を国立公園が占め、広大な土地と資源を持っているが人口は3500人程度。過疎や都市部に住民が流出する人口問題を抱えている。もともと林業が盛んな地域だが、後継者の減少により、文化の継承もままならない状況だ。
上川町 町長の佐藤芳治氏は今回の連携について、「町民が住み続けたくなる町づくり」を実現したいとの思いが背景にあったと話す。「夢や希望が感じられない町に住み続けたいとは思わない。上川町の良いところを、まずは町民にもわかってもらうことが必要だと思った」(佐藤氏)。
このような課題もあり両者は、関係人口の創出の他、シビックプライドの醸成を目指したインナーブランディングも推進。上川町で盛んな「林業」に焦点を当て、伐採作業時に使用するチェーンソーによる事故を防ぐ「チェーンソーで切れない作業着」の開発や、伐採時に発生した木材の端材を用いた学校制服の製作に努める想定だ。
とくに端材を用いた制服の製作には「子どもたちに上川町の魅力を知ってもらう」との狙いもある。TSIの下地毅代表取締役社長は「制服を通した“服育”で上川町の魅力を知ってもらうことも目的。上川町へ愛着をもってもらうために、アパレル産業やライフスタイル事業が貢献できることをしていきたい」と話した。
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