岩手県雫石町のブランドメッセージ「虹の似合うまち」はなぜ生まれたのか

著書『地域の課題を解決するクリエイティブディレクション術』を1月に刊行したクリエイティブディレクターの田中淳一氏が、岩手県雫石(しずくいし)町のブランディング施策に携わるようになったのは2018年度から。初年度は町民との対話やワークショップを経て住民投票を行い、町のブランドメッセージ「虹の似合うまち 雫石町」を発表しました。

ブランドメッセージを通じて町が目指すものとは。またその後の取り組みについてキーパーソンの3人に聞きました。

中村博氏(雫石町政策推進課 情報政策係 係長) 
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櫻田七海氏(特定非営利活動法人まちサポ雫石 理事長) 
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田中淳一氏(POPS クリエイティブ・ディレクター)

誇れる町にするためのブランドメッセージ

中村

:雫石町は、全国的に名の知れた「小岩井農場」や温泉、スキー場などの観光資源で誘客してきた観光の町です。その一方で、町民が訪れた方に「こんな田舎によく来てくださって」と話してしまうような、どこか控えめなマインドがありました。

中村博氏(雫石町政策推進課 情報政策係 係長) 

岩手県岩手郡雫石町生まれ、雫石町育ち。岩手大学農学部卒業後、民間企業勤務を挟み2003年雫石町入庁。農林課、保健課、町民課、上下水道課、総合福祉課を経て現職に。2020年から雫石町シティプロモーションの推進担当となり、ブランドメッセージ「虹の似合うまち 雫石町」を核とした雫石町のブランド力を高める取り組みを行っている。

近年は観光需要も低下し、多くの地方自治体と同じく人口減少や少子高齢化という難題に直面しています。そんな中で、なによりもまず地元の人たちにこの町を好きになってもらい、「ようこそ雫石町へ」と胸を張ってもらえるブランディングに取り組もうと、シティプロモーションを始めました。

田中

:雫石町は様々な魅力があります。案内してもらってまず驚いたのは、町の広さ。確か面積(608.8㎢)は東京23区(627.6㎢)に匹敵する規模です。町内10カ所ほどに点在する温泉はそれぞれ泉質が異なり、宮沢賢治の文学をほうふつとさせる豊かな自然や整備された綺麗な町並み、町民との会合で用意された「各家庭が得意料理をお重に詰めて持ち寄り皆で食べる『重(じゅ)っこ料理』」には、地域のつながりを大事にする伝統が感じられました。

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