民主化するD2C、問われるのは「なぜやるか」――伊藤謙太郎・武田康平・廣田周作

D2Cという言葉や手法が浸透した今、国内外のD2C ブランドを取り巻く状況はどのように変化しつつあるのか。そごう・西武にて、D2C ブランドを中心に扱うOMO 形の店舗を立ち上げた伊藤謙太郎さん、応援消費を後押しするサービス「Makuake」で多数のD2C ブランドの支援をしてきたマクアケ 武田康平さん、国内外の最新のサービスやプロダクトをリサーチし、そこから得たトレンドやインサイトを元にさまざまな企業の商品企画や研究企画のサポートをしている、Henge の廣田周作さんが語る(※本記事は9月30日発売の月刊「ブレーン」11月号「成功するD2Cブランド クリエイティブと差別化戦略」での記事内容から抜粋したものです)

伊藤謙太郎
そごう・西武 CHOOSEBASE SHIBUYAディレクター。大学卒業後、広告会社、IT企業勤務を経て2018 年7 月、そごう・西武入社。事業デザイン部ネット戦略担当に配属。20年9月から現職。19 年5月から「CHOOSEBASESHIBUYA」の事業計画に着手。21 年9 月にCHOOSEBASE SHIBUYAをオープン。

武田康平
マクアケ セールス局 マネージャー。新卒でサイバーエージェントに入社し、大手企業の広告営業を担当。2019年にマクアケ入社後、マクアケ名古屋拠点を立ち上げて流通取引総額を20 億近くまで拡大。22 年からは営業組織を立ち上げ、今に至る。

廣田周作
ブランドリサーチャー。1980 年生まれ。放送局でのディレクター、広告会社でのマーケティング、新規事業開発・ブランドコンサルティング業務を経て、2018 年8 月に、企業のブランド開発を専門に行うHenge Inc. を設立。英国ロンドンに拠点をもつイノベーション・リサーチ企業Stylus Media Group のチーフ・コンサルタントと、Vogue Business(コンデナスト・インターナショナル)の日本市場におけるディレクターも兼任する。独自のブランド開発やリサーチの手法をもち、多くの企業のブランド戦略立案やイノベーション・プロジェクトに携わる。著書に『世界のマーケターは、いま何を考えているのか?』(クロスメディア・パブリッシング)など。

国内外のD2C の現状は?

廣田

:僕は欧米系のトレンドをリサーチして企業の商品企画などをサポートするHenge という会社をやっています。D2Cという手法を改めて振り返ると、一義的にはメーカーがデジタルを活用して直接お客さまに商品を届けられる手段が生まれた、ということ。経緯としては、大企業の隙間を縫って出てきた、という面もありました。大企業では店舗や従業員を多く抱えるためにコストがかかりますが、D2C はそのコストを原価に回すことができます。また海外では、レッド・アントラーのようなD2Cに特化したエージェンシーが出てきており、クリエイティブブティックやエージェンシーが、スタートアップのプロダクトの戦略、資金調達まで面倒を見てくれるような環境が整ってきました。

伊藤

:僕はD2C ブランドが出店するOMOストア「CHOOSEBASE SHIBUYA」を昨年9月に渋谷にオープンし、そのディレクターをしています。立ち上げた背景は、デジタルでの物販を進めた先で「Web 広告の高止まりに行き当たる」と考えたためです。なんだかんだオフラインのほうがCPA が安い、という声もあり、であれば、と簡単にオフラインに出品できるサービスを企画しました。D2C ブランドがオフラインでの接点を設ける際にはPOPUPという手法もありますが、実際はアルバイトのスタッフが接客をすることも多く、ブランドオーナーの想いを届けるという面からは最適ではないなと感じたことも。そのためCHOOSEBASEではブランドの魅力を純度100%でお伝えできるようにオリジナルのWebカタログを作成。スマホ上でお客さまご自身が自分のペースで商品やブランドの情報を確認できるようにしました。

続きを読むには無料会員登録が必要です。

残り 2371 / 3072 文字

KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。

登録に必要な情報は簡単な5項目のみとなります

「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です

会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ